ペットの飼育の中でも餌を与えるという行為は最も飼育者にとって楽しい時間かも知れません。
一方で、餌を与えると言っても「何を与えれば良いのか」「どのタイミングでどの位の量を与えれば良いのか」
など様々な疑問は尽きません。
今回はクサガメに与える餌として、どのような食べ物を与えるのかについて徹底解説します。
愛らしいクサガメも、時にその行動で飼い主を悩ませることがあり、餌を食べないという状態は、何か重大なサインである可能性も否定できません。
この記事では、クサガメが餌を食べない時に考えられるさまざまな理由と、今すぐできる具体的な対策を、専門的な知識も交えながら徹底的に解説していきます。
クサガメの食べ物について
クサガメは野生下では何を食べているの?
クサガメは野生では雑食性であり、多様な食べ物を摂取します。
主に水生昆虫や甲殻類、小魚、カエルの幼生などの動物性のものを好んで食べますが、植物も食べることがあります。
特に水草や落ち葉をかじることがあり、成長とともに植物の割合が増えることが多いです。
成体になると肉食傾向が弱まり、果物や野菜を食べることもあります。
彼らの食性を理解することで、飼育下でも適切な食事を提供できます。
クサガメが必要とする栄養素
クサガメの健康を維持するためには、たんぱく質、ビタミン、ミネラルをバランスよく含んだ食事が必要です。
幼体のうちは成長のために高たんぱくな餌が重要であり、カルシウムやビタミンD3も不可欠です。
これらが不足すると甲羅の発育不良や病気の原因になります。成体になると植物の割合を増やし、消化に良い食材を取り入れることが大切です。
クサガメの餌の種類

クサガメの主食としては、市販のカメ専用フードが便利です。
水棲カメ用のペレットや乾燥エビ、小魚などが一般的です。
おはようございます☀
— なべお🐟🐢 (@goldfish_nabeo) June 6, 2024
今日はカメちゃん大好き干しエビの日🦐
美味しそうに食べています🐢#クサガメ pic.twitter.com/BiZOsNKEkS
生餌としてはミミズや小魚も適しており、自然に近い食事を提供できます。野菜や果物も補助的に与え、バランスの良い食事を心がけることが大切です。
- カメ専用ペレット – 栄養バランスが良く初心者にも扱いやすいです。
- 乾燥エビ – たんぱく質補給に優れたおやつです。
- 小魚やミミズ – 天然の食材で自然に近い食生活を提供できます。
- 水草(アナカリスなど) – ビタミン補給に最適です。
- 野菜(小松菜、チンゲン菜) – ミネラル補給に役立ちます。
クサガメが食べてはいけないもの
クサガメにとって危険な食べ物には、塩分や脂肪が多いもの、加工食品、糖分が多いものがあります。
特にハムやソーセージ、パンなどの加工食品は絶対に避けるべきです。
また、人間用の調味料がついた食べ物も消化不良を引き起こす可能性があります。
- ネギ類(タマネギ、ニラ、ネギ) – 消化器官に負担をかけ、最悪の場合中毒を起こします。
- チョコレート、菓子類 – 糖分や添加物が多く、健康を害します。
- 乳製品 – 消化できず、下痢を引き起こす可能性があります。
初心者が誤って与えやすいものとして、肉やパン、果物の種などがあります。
特に肉は消化が悪く、脂肪分が多いため避けた方がよいです。
果物の種には毒性を持つものもあるので注意が必要です。
クサガメの餌に適した野菜
栄養バランスを考えた野菜の選び方
クサガメに与える野菜は、ビタミンやミネラルを豊富に含んでいるものを選ぶと良いです。
特にカルシウムが豊富な小松菜やチンゲン菜はおすすめで、骨や甲羅の健康維持に役立ちます。
小松菜の茎を食べるリクガメ。ただ少し大きかったか。。#ヒガシヘルマンリクガメ#ニホンイシガメ#クサガメ pic.twitter.com/bDC89gbbKl
— ショウさん🐢🐢🐢 (@sho3ns) March 29, 2024
一方で、レタスやキャベツは水分が多く、栄養価が低いため、主食には向いていません。
また、野菜によってはカメの消化に適していないものもあるため、与える前にしっかりと選別することが大切です。
野菜を与える際の注意点
野菜を与える際は、生のまま適度な大きさにカットし、農薬をしっかり洗い流すことが重要です。
農薬が残っているとカメの健康を害する可能性があるため、無農薬のものを選ぶか、しっかりと水洗いすることを心がけましょう。
また、一度に大量に与えるのではなく、適量を様子を見ながら与えるのがよいです。
クサガメは個体によって食の好みが異なるため、最初は少量ずつ与えて食べるかどうかを確認しながら進めると良いでしょう。
特に消化に負担がかかるものは少しずつ試すのが大切です。
さらに、野菜はバラエティ豊かに与えることが推奨されます。毎回同じ種類の野菜だけを与えていると、栄養の偏りが生じる可能性があります。
そのため、小松菜やチンゲン菜だけでなく、アナカリスなどの水草や、他のカルシウムやビタミンを含む野菜も適宜加えると良いでしょう。
クサガメにおすすめの野菜リスト
- 小松菜 – カルシウムが豊富で健康に良いです。
- チンゲン菜 – ビタミンAやCが豊富です。
- アナカリス – 自然な食事環境を作れます。
- カボチャ – βカロテンが豊富で、栄養価が高いですが、消化が悪いため少量を茹でて与えます。
- ニンジン – ビタミンAが多く含まれており、すりおろして少量を与えると良いです。
- モロヘイヤ – カルシウムが非常に豊富で、甲羅の健康維持に役立ちます。
果物の与え方
クサガメが喜ぶ果物の種類
クサガメは果物も好みますが、糖分が多いため与えすぎには注意が必要です。
適量ならばビタミン補給として役立ちます。
おすすめの果物はイチゴやリンゴ、バナナなどです。
亀の自給自足🐢
— 紗亀&亀太郎 (@kametarou_kame) July 4, 2023
クサガメが作ったイチゴを食べてみよう😊
これって自給自足になるかな?(笑) pic.twitter.com/jx1gS1dIvp
これらの果物は甘みがあり、カメが好んで食べることが多いですが、与えすぎると消化に負担がかかるため、バランスを考えて与えることが大切です。
また、果物の中には糖分が特に高いものもあるため、クサガメの体調や食欲に合わせて調整する必要があります。
おやつの与える頻度と量
おやつとしての果物は週に1〜2回程度に抑えるのがよいです。
食べ過ぎると肥満や消化不良の原因になるため、少量を心がけます。
特に幼体や高齢の個体は消化能力が異なるため、一度に多く与えるのではなく、少量ずつ試してみることが大切です。
また、果物を与える時間帯も考慮するとよいでしょう。食欲が活発な朝や昼の時間帯に少量与えると、消化の負担が少なくなります。
果物の栄養と注意すべき点
果物にはビタミンが豊富に含まれますが、皮や種は取り除いてから与えることが大切です。
特にリンゴやスイカなどの種はカメにとって消化しにくいため、必ず取り除いてから与えるようにしましょう。
また、柑橘類は酸が強く、カメの胃に負担をかけるため控えた方がよいです。
さらに、乾燥果物は糖分が凝縮されているため、生の果物に比べて与えすぎには注意が必要です。
時折、水で薄めた果汁を与えることで水分補給にもなり、消化を助ける効果もあります。
クサガメの飼育における餌の工夫
乾燥フードと水棲フードの違い
乾燥フードは保存が利き、栄養バランスが取れていますが、食いつきが悪いこともあります。水棲フードは水に浮くため食べやすく、初心者にも扱いやすいです。
手作り餌のレシピと栄養価
クサガメ用の手作り餌として、小松菜やチンゲン菜を細かく刻み、乾燥エビやカルシウムパウダーを混ぜる方法があります。手作りならば保存料を使わず安心して与えられます。
餌の与え方におけるヒント
餌は朝か昼の暖かい時間帯に与えると食べやすいです。水質を保つためにも、食べ残しはすぐに取り除くことが重要です。
このように、クサガメの食事はバランスと種類を考えて提供することが大切です。適切な餌を選び、健康で元気なクサガメを育てましょう。
クサガメが餌を食べない時に考えられる理由と対策方法
環境の変化によるストレス
環境の変化によるストレスが原因となることがあります。
新しくお迎えしたばかりの場合や、水槽のレイアウトを変更したとき、また掃除をした直後などに餌を食べなくなることがあります。
さらに、近くで大きな音や振動があると落ち着かず、食欲が低下することもあります。他のペットが近くにいる場合や、人の動きが多い場所に置かれていると、警戒心から餌を食べなくなることもあるため、静かで落ち着ける環境を整えることが大切です。
対策方法
このような場合は、落ち着ける環境を作ることが大切です。水槽の置き場所を静かな場所にし、急激な変化を避けるようにしましょう。
新しい環境に慣れるまでには時間がかかることもありますが、2週間ほど様子を見て、徐々に餌に興味を示すようになれば問題ありません。また、クサガメが隠れることのできる場所を作ってあげると安心しやすくなります。
- 新しくお迎えしたばかり
- 水槽の掃除やレイアウトの変更
- 近くで大きな音や振動がある
- 他のペットや人間の動きが多い場所にいる
水温が低すぎる
水温が低すぎると代謝が落ち、食欲がなくなります。クサガメは変温動物のため、適切な水温を保つことが重要です。
特に20℃以下になると餌を食べなくなることが多いため、水温を25〜28℃程度に維持するようにしましょう。
水槽にヒーターを設置することで、安定した温度を保つことができます。
対策方法
適温は25〜28℃なので、寒い時期や水温が低下しやすい環境では、水槽用のヒーターを設置することが重要です。特に20℃を下回ると食欲が大きく低下するため、寒い季節にはヒーターで安定した温度を維持するようにしましょう。ヒーターを使用する際は、水温計も設置して温度を定期的に確認し、適温をキープできるようにしてください。
- クサガメは変温動物なので、水温が低いと代謝が下がり食欲がなくなります。
- 適温は 25〜28℃。20℃以下では食欲が減ることが多いです。
冬眠モードになっている
季節の影響で冬眠モードに入ってしまうこともあります。
秋から冬にかけて気温が下がると、活動量が減り、餌を食べなくなることがあります。もし室内で飼育しており、冬眠をさせるつもりがない場合は、水温を25℃前後に保ち、クサガメが活動しやすい環境を作ることが大切です。
対策方法
冬眠をさせる予定がない場合は、水温を25℃以上に維持し、昼間に日光浴をさせることで冬眠モードに入らないように調整できます。
水温と同時に、紫外線ライトやバスキングライトを使って体温を上げることも大切です。日光浴を適度にさせることで、代謝が活発になり、食欲も回復しやすくなります。
- 秋〜冬になると気温が下がり、冬眠しようとして餌を食べなくなることがあります。
- 室内飼育で冬眠させない場合は、水温を25℃前後に維持することが大切です。
餌の種類に飽きた・好みでない
餌の種類が原因で食べなくなることもあります。
クサガメは好みがはっきりしていることがあり、いつもと違う餌には興味を示さないことがあります。
また、同じ餌ばかりだと飽きてしまい、食べなくなることもあります。そのような場合は、カメ専用の人工フードだけでなく、乾燥エビや小魚、野菜など、バリエーションを持たせることで食欲が戻ることがあります。
特に生餌であるアカムシやミミズなどを与えると、興味を持って食べることが多いです。
対策方法
こうした場合は、餌の種類を変えてみるのが有効です。普段与えている人工フードに加えて、乾燥エビ、小魚、野菜(小松菜やチンゲンサイなど)を試してみましょう。
また、食いつきを良くするために、生きたアカムシやミミズを与えると、本能的に興味を示して食べることがあります。餌の種類を定期的に変えることで、偏食を防ぎ、バランスの良い食事ができるようになります。
- いつもと違う餌を与えてみる(カメ用の人工フード、乾燥エビ、小魚、野菜など)
- 生餌(アカムシやミミズ)を試すと食欲が戻ることも。
体調不良・病気
体調不良や病気も餌を食べない原因のひとつです。
目が腫れていたり、白く濁っていたりする場合や、甲羅に白い斑点が見られる場合は注意が必要です。また、口の中に腫れがあったり、全体的に動きが鈍くなっていたりする場合も、体調が悪い可能性があります。
このような症状がある場合は、爬虫類に詳しい獣医に相談することをおすすめします。
対策方法
このような場合は、できるだけ早く爬虫類専門の獣医に診てもらうことが重要です。また、甲羅の異常がある場合は、紫外線ライトを適切に使用し、カルシウムを含む餌を与えることで予防できます。
水質の悪化も病気の原因になるため、こまめに水換えを行い、清潔な環境を保つことが必要です。
- 目が腫れている、白く濁っている
- 甲羅に異常がある(柔らかすぎる、白い斑点など)
- 口の中が腫れている
- 動きが鈍く、ずっとじっとしている
- これらの症状があれば爬虫類に詳しい獣医に相談を。
脱皮中
脱皮の影響で食欲が落ちることもあります。クサガメは成長とともに皮膚や甲羅が剥がれることがあり、その期間は食欲が落ちることがあります。脱皮中であれば、無理に餌を与えようとせず、様子を見守るのがよいでしょう。
対策方法
脱皮自体は自然な現象なので、無理に餌を食べさせる必要はありません。
ただし、脱皮が長引いたり、皮膚に異常が見られる場合は水質の悪化が原因であることが多いため、水を清潔に保つことが重要です。
また、脱皮をスムーズにするために、時々浅めのぬるま湯に浸けてあげると、皮膚が剥がれやすくなり、ストレスの軽減にもつながります。
- 皮膚や甲羅の一部が剥がれていると、脱皮中で食欲が落ちている可能性があります。
- この場合は、無理に食べさせずに様子を見ましょう。
単なる気分
単なる気分で食べないこともあります。クサガメは意外と気まぐれな面があり、何日か餌を食べないことは珍しくありません。
特に異常がないようであれば、1週間程度は様子を見ても問題ありませんが、それ以上続く場合は環境を見直したり、餌を変えたりしてみるとよいでしょう。
対策方法
1日〜数日間食べなくても元気に動いているなら、あまり心配する必要はありません。ただし、1週間以上食べない場合は、水温や環境を見直したり、餌の種類を変えてみるとよいでしょう。
例えば、人工フードの上に乾燥エビを少し乗せることで、香りに釣られて食べることもあります。また、水の中ではなく陸地で餌を与えてみると、食べることもあるため、試してみる価値はあります。
- クサガメは意外と気まぐれで、何日か餌を食べないこともあります。
- 1週間程度なら様子を見て、それ以上続くなら環境を見直してみましょう。
まとめ
クサガメが餌を食べない理由は、飼育環境や体調に何らかの問題があるサインかもしれませんので、この記事で紹介した理由と対策を参考に、あなたのクサガメが快適に過ごせるよう、飼育環境を見直してください。
日々の観察を怠らず、小さな変化にも気づけるように心がけることも大事ですが、上記の対策を試しても改善が見られない場合は、専門家である獣医師に相談することをおすすめします。
この記事が、あなたのクサガメとの生活をより良いものにするための一助となれば幸いです。