ボールパイソンが大きく口を開けて、まるで人間のあくびのような動きをすることがあります。
「えっ、ボールパイソンってあくびするの?」「眠いのかな?かわいい!」と微笑ましく思う一方で、「もしかして体調が悪いのでは?」と不安になる方もいるでしょう。
実はこの“あくび”のような行動、単なるリラックスだけでなく、さまざまな意味が隠されています。
この記事では、ボールパイソンのあくびの原因や注意すべきサイン、安心して見守ってよいケースと注意が必要なケースの違いについて、わかりやすく解説します。
ボールパイソンの“あくび”とは?

ボールパイソンが突然、大きく口を開けてゆっくり閉じる動作を見せることがあります。
まるで人間のあくびのように見えるため、多くの飼い主さんは「眠いのかな?」「リラックスしてるのかな?」と感じるかもしれません。
しかし、爬虫類には私たちのように「眠いからあくびをする」という行動は基本的にありません。
ボールパイソンのこの“あくび”に見える行動は、実は以下のような生理的・構造的な理由に基づいています。
あくびに見えるとはいえ、毎回同じ理由でしているとは限りません。
1回だけなら問題のない動作でも、頻繁に見られるようなら、何らかの不調のサインかもしれません。
ボールパイソンがあくびをする(ように見える)主な理由

ボールパイソンの“あくび”に見える行動には、いくつかの明確な理由があります。
眠気とは関係のない動作であり、生理的な必要やクセとして行っていることがほとんどです。以下に代表的な原因を紹介します。
顎の位置を調整している
最もよく見られる理由がこれです。
ボールパイソンは、大きな獲物を丸呑みするために顎の骨が非常に柔軟です。
餌を食べた後、ズレた顎の位置を整えるために口を大きく開けて“リセット”するような動きを見せるのです。
とくに食後数日以内に見られる場合は、顎の調整と考えてよいでしょう。
呼吸を整えている
口を開けて空気を吸い込むような動作は、呼吸器の調整の可能性もあります。
脱皮中や湿度が低すぎると、鼻腔が詰まって呼吸がしにくくなることがあり、その際に“あくび”のような行動をとることがあります。
軽いストレッチやクセ
とくに問題のない場合でも、単にクセやストレッチのような動作として行っていることもあります。
人間が背伸びをしたり首を回したりするように、ボールパイソンも筋肉や顎周りを伸ばす感覚で口を開けることがあります。
環境への反応
新しい環境に置かれたときや、ストレスを感じたときにも“あくび”のような動作が見られることがあります。
これは緊張や違和感を発散するための動きとも言われており、引っ越し直後や温度変化の激しいときに見られることがあります。
あくびに見えるけど注意すべきボールパイソンの異常サイン

ボールパイソンが口を開ける行動の多くは正常ですが、なかには「ただのあくびではない」ケースもあります。
以下のような症状をともなう場合は、病気や体調不良の可能性も考えられるため、注意が必要です。
頻繁に“あくび”を繰り返す
1日に何度も繰り返すようなら、単なる顎の調整ではないかもしれません。
口内の違和感や呼吸のしづらさが原因となっている可能性があります。
口を開けたときに音がする
「ピーピー」「シュッ」というような音が聞こえる場合、呼吸器に異常があるサインです。
鼻詰まりや肺炎の前兆としても見られるため、早めの対処が必要です。
口が閉じない・開けたままになる
長時間口が開いたままの状態が続くのは異常です。
顎の脱臼や筋肉の異常、重度の口内炎などが考えられます。
よだれのような分泌物がある
口の周りに粘ついた液体がついていたり、泡を吹いているように見える場合は、口腔内感染症の可能性が高いです。
口の中がただれていたり変色している
健康なボールパイソンの口の中は、きれいなピンク色をしています。
白っぽく濁っていたり、赤くただれていたりする場合は、口内炎や感染症が疑われます。
病気が疑われる場合の対応と予防策

“あくび”のように見える口の開閉が頻繁だったり、異常な様子がある場合には、病気の可能性も考えなければなりません。
放置すると重症化して命に関わることもあるため、早めの対応が大切です。
考えられる病気
最も多いのは「口内炎(マウスロット)」や「呼吸器感染症(肺炎など)」です。
これらは不衛生な環境、温度・湿度の不安定さ、過剰なストレスなどが原因で発症します。
- 口内炎(マウスロット)
口の中が白くただれていたり、よだれが出る、口臭が強いといった症状があります。
進行すると食欲不振になり、やがて命に関わる状態に。 - 呼吸器感染症
口を開けて苦しそうに呼吸する、音がする、鼻水が出るなどの症状が出ます。
高湿度・低温が引き金になることが多く、冬場に発生しやすい病気です。
動物病院に行くタイミング

以下のような場合は、できるだけ早く爬虫類を診察できる動物病院に相談しましょう。
- あくびの回数が極端に多い
- 口の中に異常が見られる
- 呼吸音がおかしい・鼻水が出ている
- 食欲が落ちてきた
- なんとなく元気がない
軽度の異変でも、経験豊富な獣医師なら早期に発見・治療が可能です。
普段からできる予防法
病気の多くは、日々の飼育環境の管理で防げます。以下のポイントを意識しておきましょう。
- 適正な温度・湿度を維持する
ボールパイソンは寒さや乾燥に弱い生き物です。季節ごとの管理に注意しましょう。 - ケージを清潔に保つ
糞尿はこまめに取り除き、定期的に床材を交換することで細菌の繁殖を防ぎます。 - ストレスを最小限に
頻繁なハンドリングや、落ち着かない環境は体調不良の原因になります。
安心できる隠れ家を用意し、静かな場所にケージを置きましょう。
ボールパイソンのあくびの観察ポイントと楽しみ方
ボールパイソンの“あくび”は、健康であれば心配のいらない自然な行動です。
むしろ、飼い主にとっては見逃せない“癒しの仕草”とも言えるでしょう。
ここでは、あくびを観察する際のポイントと、楽しみ方をご紹介します。
写真や動画に残してみよう
あくびの瞬間は意外とレアです。
のんびりとした様子の中、突然始まる口の開閉はとてもユニークで、見ていると思わず笑みがこぼれます。
運よく目撃したら、スマホでそっと撮影してみるのも良いでしょう。SNSでも人気のショットです。
健康チェックの一環として観察する
普段から“あくび”をする頻度や様子をチェックしておくことで、体調の変化に気づきやすくなります。
「あれ?今日はあくびの後に変な音がしたな」「口の中が白っぽい?」など、早期の異常に気づけるのも、日々の観察あってこそです。
過剰反応せず、様子を見ることも大切
1日に1回や2回程度のあくびは、まったく問題のない生理的な動きです。
毎回不安になるのではなく、「今日は顎のリセットしてるな」「ごはんの後だから口を整えてるのかな」など、ちょっとした会話をするような気持ちで見守るのも、爬虫類飼育の楽しみ方の一つです。
まとめ
ボールパイソンが見せる“あくび”のような動作は、可愛らしい仕草であると同時に、体の構造やコンディションと深く関係しています。
ほとんどの場合は顎のリセットや呼吸の調整といった自然な動作なので、安心して見守って大丈夫です。
ただし、頻繁に繰り返したり、異音や分泌物をともなう場合は、病気のサインかもしれません。
普段から様子を観察し、「いつもと違う」に気づけることが、飼い主としての大切な役割です。
あくびを通してボールパイソンの健康状態を知ることができる――それは、飼育の醍醐味のひとつかもしれませんね。