クサガメを飼育していると、ある日突然、愛亀の体が黒ずんで見えることに気づくかもしれません。
これは黒化(メラニズム)と呼ばれている、クサガメのオスに見られる特徴的な現象です。
この記事では、クサガメの黒化する現象について、その年齢、理由、変化の過程、そして黒化しない個体の存在まで、詳しく解説していきます。
クサガメの黒化について正しい知識を持つことで、より深くクサガメの魅力を理解し、飼育をさらに楽しむことができるでしょう。
さらに、クサガメの脱皮と黒化の関係、黒化しない場合の理由についても掘り下げて解説します。
クサガメの黒化って、どんな現象?

クサガメの黒化とは、主にオスのクサガメが成長するにつれて体全体が黒くなる現象で、これはメラニズムとも呼ばれ、メラニン色素が体内で過剰に生成されることによって引き起こされます。
メラニン色素は、皮膚や毛、目などの色を決定する色素であり、黒化は、このメラニン色素が過剰に生成されることで、体色が黒く変化する現象です。
メスのクサガメも成長に伴い多少黒ずむことがありますが、オスのように全身が真っ黒になることはありません。
黒化は、まず目の周りや虹彩が黒くなることから始まり、首にある黄色い模様が消え、最終的に甲羅の色がこげ茶色から黒へと変化していき、甲羅の縁や継ぎ目も黒くなることで、黒化が完了します。
この変化は、まるで別のカメのように見えるほど劇的ですので、クサガメの黒化は飼育者にとって、成長の証であり、一つの楽しみとなるでしょう。
クサガメは何歳から黒化する?
クサガメの黒化が始まる時期は、個体差が大きいですが、一般的には3歳から6歳頃、甲長が7cmから10cm程度になった頃です。
完全に黒化するのは、早い個体では6歳、遅い個体では9歳頃、甲長が14cm程度になった時ですが、飼育環境や個体によって、数年のズレが生じることもあり、栄養状態や飼育温度、日照時間などが影響を与える可能性があります。
黒化は年齢よりも成長速度に依存する傾向があり、成長速度が遅い個体は黒化の時期も遅れることがある一方、中には黒化しない個体もいるなど、その理由はまだ完全には解明されていません。
クサガメの成長は、飼育環境によって大きく左右されるため、黒化の時期も個体によって大きく異なることを理解しておく必要があります。
黒化のメカニズムと脱皮との関係、黒化しない個体
黒化は、ホルモンバランスの変化、紫外線の影響、そしてDNAなど、様々な要因が複雑に絡み合って起こると考えられています。
黒化には、脳内(脳下垂体中葉)から分泌されるインテルメジンというホルモンが関与していると考えられています。
メラニン色素の生成には、メラノサイトという細胞が関わっており、ホルモンの影響でメラノサイトが過剰に拡散すると黒化が起こりますが、黒化の詳しいメカニズムはまだ完全に解明されていません。
クサガメは他の爬虫類と同様に脱皮をしますが、脱皮が直接黒化を促すわけではなく、脱皮は成長に伴い、古くなった皮膚を剥がして新しい皮膚を作るための生理現象です。
クサガメのような水棲のカメは、ヘビのように一度に全身を脱皮するのではなく、皮膚が薄いシート状に剥がれるように部分的に脱皮を繰り返します。
黒化は、あくまで成長に伴う生理現象であり、脱皮とは異なる現象でありながらも、ごくまれに黒化しないオス個体も存在します。
黒化しない理由としては、まだ十分に成長していない、実はオスではない、実はクサガメではないという可能性が考えられます。
黒化は成長に依存する傾向があるため、成長速度が遅い個体は黒化の時期も遅れることがありますし、子亀の時期はオスとメスの判別が難しいため、メスと間違えている可能性、別種のカメである可能性も考慮に入れる必要があります。
まとめ
この記事では、クサガメが黒化する現象について、そのメカニズム、年齢、理由、脱皮との関係、そして黒化しない個体の存在まで、幅広く解説しました。
クサガメの黒化は、飼育下での観察を楽しむことができる興味深い現象ですので、この記事が、あなたのクサガメ飼育の一助となれば幸いです。
クサガメの黒化は、その成長過程における重要な変化であり、飼育者にとっては、愛亀の成長を実感できる瞬間でもあります。
黒化のメカニズムを理解し、適切な飼育環境を整えることで、クサガメの健康な成長をサポートし、より長く共に過ごすことができるでしょう。