「リクガメは寿命が長いって聞くけど、本当のところはどうなの?」
そんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
実際、リクガメは飼育環境によって寿命が大きく左右される生き物です。
種類によっては30年未満で亡くなるケースもあれば、100年以上生きる個体も存在します。
この記事では、リクガメの平均寿命、寿命が短くなってしまう原因、短命な種類の例、そして長生きさせるための飼育のコツまで詳しく解説していきます。
リクガメの寿命が短い種類とは?
リクガメ全体としては長寿の傾向がありますが、その中でも比較的寿命が短いとされる種類も存在します。
これは主に「体のサイズ」「繁殖や成長スピード」「飼育環境への適応力」などが関係しています。
日本で人気のあるリクガメは、ヘルマンリクガメやギリシャリクガメ、ロシアリクガメなど、体長20cm前後の小型種が中心です。
これは、住宅事情や飼育スペースの制約がある日本では、小型の方が飼いやすいためです。

ヘルマンリクガメ

ギリシャリクガメ

ロシアリクガメ
ロシアリクガメ(ホルスフィールドリクガメ)

最も人気があり、初心者向けとして紹介されることも多い小型種です。
体長は20cm程度とコンパクトで、温和な性格も魅力。しかし、寿命は30年程度が平均的で、条件によっては20年未満になることもあります。
寒冷地出身で冬眠を必要とするため、飼育環境が適切でないと短命になりやすい一面があります。
ヘルマンリクガメ(特に小型個体)

ヘルマンリクガメも小型〜中型の人気種ですが、特に東欧系の小型個体は環境の変化にやや敏感で、ストレスや紫外線不足に弱い傾向があります。
飼育下での寿命は40年程度と言われていますが、飼育方法を誤ると20年未満で亡くなるケースもあるため、初心者には注意が必要です。
ケヅメリクガメの若齢個体

ケヅメリクガメは本来非常に長寿(60〜80年)ですが、赤ちゃん〜若齢期は非常にデリケートです。
栄養不足・湿度管理の失敗・病気などが原因で数年以内に命を落とすケースもあるため、実際には寿命が「短く感じられる」こともあります。
長寿のリクガメは何歳くらいなのでしょうか?
有名なチャールズ・ダーウィン博士が、ガラパゴス諸島からオーストラリアに持ち帰ったとされるガラパゴスゾウガメのハリエットは175歳でした。

こちらも有名な方ですが冒険家のキャプテン・ジェームス・クックが、トンガ王室に献上したとされているホウシャガメのトゥイ・マリラ(Tui Malila)は188歳でした。
どちらもかなりの長寿で、ある意味歴史と共に生き抜いてきたリクガメですね。
さらに現在も長寿の記録を伸ばしているリクガメがいます。
イギリスのセントヘレナ島にいるアルダブラゾウガメのジョナサンは、なんと191歳!
ただ今ギネス世界記録更新中です。
リクガメを飼育していると、マイペースにのんびり過ごしているなとよく感じます。
リクガメからしたらそのまま気付いたらたくさん時間が経っていたという感じだと思いますが、200年近くも変らずにいるなんて驚きです。
こうした記録や特徴からもわかるように、リクガメは決して寿命が短い動物ではなく、むしろ非常に長寿な生き物だと言えます。
リクガメの寿命が短くなる原因と、やってはいけない飼育行動

リクガメは本来とても長生きする生き物ですが、飼育環境やお世話の仕方を間違えると寿命が短くなってしまうことがあります。
以下では、寿命を縮めてしまう代表的な「環境要因」と「飼い主のNG行動」の両方を紹介します。
温度管理のミス
リクガメは変温動物なので、周囲の温度によって体調が左右されます。
寒すぎると代謝が落ちて活動できなくなり、暑すぎると脱水や熱中症になるリスクがあります。
人間の感覚で温度を判断せず、温度計で管理することが大切です。
紫外線不足(UVB)
屋内飼育の場合、自然光が足りないとカルシウム不足になりやすく、くる病や甲羅の変形などの病気につながります。
紫外線ライトの設置や日光浴の時間確保が不可欠です。
バランスの悪い食事
市販のカメフードだけに偏ったり、果物や人間の食べ物を与えすぎると、栄養バランスが崩れて病気の原因になります。
カルシウムをしっかり補いながら、野菜や野草を中心に与えるのが理想です。


過度なスキンシップ
リクガメは穏やかな性格ですが、実はストレスに弱い生き物です。
頻繁に触ったり、抱き上げたり、背中をなでたりするとストレスが溜まり、免疫力の低下や拒食につながることもあります。
清潔でない飼育環境
汚れた床材や水入れは、カビや細菌の温床になります。
定期的な掃除と床材の交換を怠らないことが、病気の予防につながります。
冬眠の判断ミス
すべてのリクガメが冬眠するわけではありません。
南方系の種(例:ケヅメリクガメ)を冬眠させてしまうと命に関わることもあるため、種類ごとの特性を正しく理解しておくことが重要です。
リクガメの寿命を他の動物と比較すると?

リクガメの寿命は「長い」と言われますが、実際にどれほど長寿なのかは、他の動物と比べてみるとよくわかります。
ここでは、他のカメ類・爬虫類・長寿生物とリクガメの寿命を比較してみましょう。
他のカメ(クサガメ・ミドリガメ・ウミガメ)との比較
ペットとしてよく知られる水棲カメには、クサガメやミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)などがいます。
これらの種類も比較的長寿で、飼育下で30〜40年程度生きる個体もいます。
ただし、リクガメの方が体が大きく成長スピードが遅いため、より長寿になる傾向があります。
また、水棲カメは飼育難易度がやや高く、ろ過装置や水換えなどの管理が必要なため、寿命を全うできないケースも多いです。
さらに野生のウミガメも寿命が長く、50〜100年ほど生きると言われています。
特にタイマイやアオウミガメなどは長寿記録を持つ種もありますが、飼育には向かずペットとしては非現実的です。
このように見てみると、ペットとして飼育できるカメの中では、リクガメが最も長寿と言える存在です。
■他の爬虫類との比較
他の人気爬虫類と比べても、リクガメの寿命は圧倒的です。
種類 | 平均寿命(飼育下) |
---|---|
リクガメ | 30〜70年(最大100年以上) |
レオパードゲッコー(ヒョウモントカゲモドキ) | 10〜20年 |
ボールパイソン | 20〜30年 |
グリーンイグアナ | 15〜20年(適切管理下) |
爬虫類の中では、リクガメはダントツの長寿種です。
飼い主の世代を超えることもあるため、終生飼育を意識する必要があります。
■他の長寿動物との比較
長寿で知られる動物たちと比較すると、そうそうたるメンツの中でも大健闘しています。
動物 | 平均寿命(飼育下または記録) |
---|---|
オウム(ヨウム) | 40〜60年 |
錦鯉 | 40〜70年(記録:200年以上) |
ゾウ | 60〜70年 |
クジラ(シロナガスクジラ) | 約80〜100年 |
リクガメ | 20〜200年超(記録あり) |
人間(日本) | 約85歳(平均寿命) |
こうして比べてみると、リクガメはまさに“動物界のご長寿王”と言っても過言ではありません。
その一方で、長生きさせるには時間と手間、そして愛情ある飼育が必要不可欠です。
リクガメの寿命は短いの?【まとめ】
リクガメは、種類や飼育環境によって寿命に幅がありますが、一般的に非常に長寿な動物です。
特に適切な環境で飼育された個体では、30年〜50年以上生きることも珍しくありません。
一方で、温度管理の失敗や日光不足、栄養バランスの乱れ、ストレスなどによって、寿命が短くなってしまうケースもあるため注意が必要です。
また、ロシアリクガメなど一部の小型種は比較的寿命が短い傾向にあります。
長生きの秘訣は、**「自然に近い環境」「ストレスの少ない生活」「丁寧な日常管理」**にあります。
リクガメはマイペースで穏やかな性格をしており、一緒に暮らすことで飼い主にもゆったりとした時間が流れます。
寿命の長いリクガメとの暮らしは、一生のパートナーとの付き合いにもなり得ます。
正しい知識と愛情を持って、リクガメとの生活をぜひ楽しんでくださいね。