クレステッドゲッコーの中でも、ひときわ神秘的で美しい見た目を持つのが「リリーホワイト」と呼ばれるモルフです。
真っ白な体色にくっきりと模様が浮かぶ姿は非常に人気が高く、国内外のブリーダーたちからも熱い注目を集めています。
かつては非常に高額で流通していましたが、近年では価格も落ち着きはじめ、手に入れやすくなったことで飼育者も増えてきました。
しかし、リリーホワイトには独特の遺伝的な性質があり、繁殖には注意点もあります。
とくに「リリー×リリー」の掛け合わせによる致死リスクは、飼育前にしっかり理解しておきたいポイントです。
この記事では、クレステッドゲッコーのリリーホワイトとはどんなモルフなのか、その特徴・成り立ち・価格相場・繁殖時の注意点まで、初心者の方にもわかりやすく丁寧に解説します。
クレステッドゲッコーの飼育方法総合まとめについてはこちらを参照してください。
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クレステッドゲッコーのリリーホワイトとは?

リリーホワイトとは、クレステッドゲッコーのモルフ(品種)のひとつで、体に広く白い色素が入り、独特なコントラストを持つのが特徴です。
背中から尻尾、さらには横腹にまで白が広がる個体も多く、「雪化粧をまとったような美しさ」と称されることもあります。
リリーホワイトの魅力はその見た目だけでなく、模様の出方や白の面積が個体によって異なることにもあります。
全身のほとんどが白で埋まる“ほぼオールホワイト”のような個体もいれば、模様が浮き出るようなまだら模様タイプも存在し、選ぶ楽しさがあるモルフです。
飼育難易度や性格は?
リリーホワイトは見た目が特別なだけで、性格や体質は通常のクレステッドゲッコーとほぼ変わりません。
寿命・大きさ・餌の好み・性格の傾向なども、ノーマル個体と同じように考えて問題ありません。
名前の由来と略称
「リリーホワイト(Lilly White)」という名称は、海外のブリーダーによって名付けられたもので、一部では略して「リリー」と呼ばれることもあります。
日本でもこの呼び方は浸透しており、「リリー系」や「リリーベビー」といった言い方を目にすることも増えてきました。
クレステッドゲッコーのリリーホワイトの成り立ちと遺伝のしくみ
こんばんはpiccolozooです‼️
— piccolozoo (@piccolozoo2017) May 27, 2025
〜販売生体〜
クレステッドゲッコー
リリーホワイト♂
柄の入りが他とは違うリリーホワイトです‼️
個人的にとてもかっこいい1匹になってます✨
保険にも加入できますので気になる方はご連絡ください👀
#クレステッドゲッコー
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リリーホワイトは、2000年代後半に海外ブリーダーによって偶然発見されたモルフです。
当初は非常に希少で、1匹数十万円〜数百万円といった高額で取引されていた時期もありました。
現在では少しずつ流通が増え、価格も落ち着いてきましたが、その美しさと希少性から今もなお高い人気を保っています。
リリーホワイトは「共優性遺伝」で発現する
リリーホワイトは、共優性遺伝(co-dominant inheritance)と呼ばれる遺伝形式によって発現します。
これは、片方の親からリリーホワイトの遺伝子を受け継ぐだけでも、しっかりと白い特徴が現れるという性質です。
たとえば:
- ノーマル × リリーホワイト → 子どもの約半分がリリーホワイトとして生まれる
- リリーホワイト × リリーホワイト → 後述する「致死リスク」があるため非推奨
このように、「1つの遺伝子だけで発現する=優性の一種」ですが、通常の優性とは異なり、遺伝子が2つ揃ったときに特別な状態(スーパー体)になるのが共優性の特徴です。
スーパーリリーホワイトは“致死体”になる
リリーホワイト同士を掛け合わせた場合、遺伝の法則上、次のような比率で子が生まれます。
- 25%:スーパーリリーホワイト(リリーホワイト遺伝子×2)
発生直後に死ぬ、または奇形で生まれる可能性が極めて高い - 50%:リリーホワイト(片親由来)
- 25%:ノーマル
この“スーパー体は致死”という性質から、リリーホワイト×リリーホワイトの交配は倫理的にも繁殖効率的にも推奨されていません。
「なんちゃってリリー」や「ファントムリリー」とは?
リリーホワイトは、白の面積が大きく出る個体が注目されがちですが、中には白が少なく、「本当にリリーホワイトなの?」と思うような個体も存在します。
- 白が極端に少ないリリー系個体:
ビリー(微リリー)と呼ばれることも - 黒っぽい地色に白が控えめなタイプ:
ファントムリリーと呼ばれることもあり、これはブリーダーによって定義が異なります
こうしたバリエーションも、リリーホワイトが単なる色変わりではなく、奥深い遺伝背景を持つモルフであることを物語っています。
クレステッドゲッコーのリリーホワイト|価格相場と選び方のポイント
リリーホワイトは、その美しい見た目と希少性から、クレステッドゲッコーの中でも高額な部類に入るモルフです。
ただし、最近では流通量が増えてきたこともあり、価格帯にはかなり幅があるのが現状です。
一般的な価格相場
- 白の面積が少ない個体(ビリー・微リリー)
3〜5万円前後 - 平均的な白の面積のリリーホワイト
6〜10万円前後 - 白の面積が広く、色味が美しいハイホワイト系
10〜20万円前後 - ピンストライプやダルメシアンとの複合個体、コントラストが極端に強い個体
20万円以上もあり得る
価格に影響する要素
リリーホワイトの価格は、単に「白いかどうか」ではなく、以下のような複数の要素で評価されます。
- 白の面積の広さ(背中・横腹・尾までしっかり入っているか)
- ベースカラーとのコントラスト(黒や赤との対比が強いと高評価)
- 模様の整い具合・左右対称性
- 目の色や光彩の印象(青白く光る個体も人気)
- 血統(有名ブリーダー由来など)
選ぶときのポイント
- 価格だけで判断せず、写真や実物をしっかり確認
脱皮前やストレス状態では白がくすんで見えることもあるため、状態によって印象が変わる - 白の面積よりも「好みのバランス」を重視するのもアリ
ファントムリリーのように白が控えめな個体も、渋くて魅力的 - 繁殖を考えている場合は、遺伝背景が明確な個体を選ぶ
無理な交配を避けるため、リリー×ノーマル出身の個体だと安心
クレステッドゲッコーのリリーホワイトの繁殖と交配の注意点
リリーホワイトは、その見た目と遺伝の特性から繁殖に挑戦したくなる魅力的なモルフですが、交配には明確な注意点が存在します。
とくに「リリーホワイト同士の交配」は、致死遺伝が絡むため、倫理的にも実用的にもNGとされています。
リリーホワイト×リリーホワイトは避けるべき理由
共優性遺伝を持つリリーホワイトでは、リリーホワイト同士を掛け合わせると、次のような確率で子どもが生まれます。
- 25%:スーパーリリーホワイト(リリーホワイト遺伝子が2つ) → 致死体
- 50%:リリーホワイト(片親由来) → 発現個体
- 25%:ノーマル → 遺伝なしの通常個体
この「スーパーリリーホワイト(リリー×リリー)」とされる遺伝子構成の個体は、孵化前に死亡するか、奇形として生まれてくる可能性が極めて高いとされています。
そのため、リリー×リリーの交配はブリーダー間でも非推奨であり、動物福祉の観点からも避けるべきとされています。
安全な繁殖パターンの例
- リリーホワイト × ノーマル
もっとも一般的で、安全な交配。リリーホワイト個体が約50%の確率で生まれます。 - リリーホワイト × 他のモルフ(例:ハーレクイン、ピンストライプなど)
個体のバリエーションが豊かに。白と模様のコントラストを狙いたい場合におすすめ。
※ただし、相手が「実はリリーホワイト系統」ではないか確認が必要
判別が難しい「微リリー」に注意
一部の個体では、白の面積が非常に少なく「ノーマルなのかリリーホワイトなのか判別が難しい」こともあります。
知らずにリリー×リリーの組み合わせになってしまうと、意図せず致死リスクを抱える交配になることも。
そのため、
- 信頼できるブリーダーやショップで親情報を確認する
- 明確にリリーホワイトとわかる個体のみを使う
- リリーホワイト系統を掛け合わせない
といった慎重な姿勢が求められます。
まとめ|リリーホワイトは見た目も繁殖も奥深い人気モルフ!
クレステッドゲッコーのリリーホワイトは、白く輝く体色と独特の模様が魅力の、非常に人気の高いモルフです。
見た目の華やかさに加えて、共優性遺伝という特徴を持ち、繁殖や交配にも特有の知識と注意が必要な点が、奥深さと面白さを生み出しています。
初心者でも飼育は難しくありませんが、繁殖を考える場合は、スーパー体による致死リスクなど遺伝の仕組みをしっかり理解しておくことが不可欠です。
価格帯も幅広く、個体ごとのバリエーションが豊富なので、「自分だけのリリーホワイト」を選ぶ楽しさもひときわ大きいモルフといえるでしょう。
リリーホワイトは、美しさ・希少性・奥深さの三拍子がそろったモルフ。
観賞用としても、ブリーディングの相棒としても、長く付き合いたくなる存在です。