ヤモリといえば、家の壁や窓に張り付いている小さなトカゲのような姿を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。しかし、ヤモリにはさまざまな種類があり、体の大きさや色、模様、生活する場所なども大きく異なります。
日本でよく見られるニホンヤモリのほか、ペットとして人気のヒョウモントカゲモドキ(レオパ)やクレステッドゲッコー、鮮やかな緑色をしたヒルヤモリなども、広い意味でヤモリの仲間です。
また、見た目が似ている種類も多く、家で見つけたヤモリが何という名前なのか、どこを見れば種類を区別できるのか迷うこともあるでしょう。
この記事では、日本に生息するヤモリとペットとして人気のヤモリを中心に、代表的な種類の特徴や見分け方を紹介します。珍しいヤモリや初心者が飼育する際の選び方についても解説するので、気になる種類を探す参考にしてください。
ヤモリにはどんな種類がいる?特徴と分類を解説

ヤモリは世界各地に分布する爬虫類で、熱帯雨林から砂漠、人間の住む住宅地まで、さまざまな環境に適応しています。
日本で身近なニホンヤモリだけでなく、木の上で生活する種類や地面を歩く種類など、生活スタイルにも違いがあります。まずはヤモリの分類と基本的な特徴を確認しましょう。
世界には多くのヤモリの仲間が生息している
ヤモリは有鱗目に分類される爬虫類で、トカゲの仲間です。広い意味でのヤモリ類はヤモリ下目(Gekkota)に含まれ、ヤモリ科やトカゲモドキ科など、複数の科に分かれています。
世界には2,000種を超えるヤモリの仲間が知られています。ただし、分類の変更や新種の発見が続いているため、正確な種類数は資料の更新時期によって異なります。
ヤモリの特徴としてよく知られているのが、壁やガラスなどの垂直面を移動できる能力です。多くの種類では指先に趾下薄板と呼ばれる構造があり、その表面の非常に細かな毛状構造が壁面への付着を可能にしています。
しかし、すべてのヤモリがガラスを登れるわけではありません。地表で生活するトカゲモドキ類などには、壁面に付着するための指先の構造が発達していない種類もいます。
また、夜間に活動する種類が多い一方で、ヒルヤモリの仲間のように日中に活発に行動する種類も存在します。
このように、ヤモリは種類によって姿や生態が大きく異なる動物です。名前が似ていても、必要な飼育環境や行動の特徴が同じとは限りません。
ヤモリとトカゲモドキの違い
ペットショップで見かけるヒョウモントカゲモドキやニシアフリカトカゲモドキも、ヤモリの仲間です。ただし、一般的なヤモリ科ではなく、トカゲモドキ科に分類されています。
代表的な違いは、まぶたと指先の構造です。
ニホンヤモリなどの多くのヤモリ科の種類には、目を閉じるための可動性のまぶたがありません。そのため、透明な鱗で覆われた目の表面を舌でなめて清潔に保つことがあります。
一方、ヒョウモントカゲモドキには動くまぶたがあり、人間のように目を閉じることができます。また、指先に壁面へ付着する構造が発達していないため、ニホンヤモリのようにガラス面を自由に登ることはできません。
ただし、こうした特徴はすべてのヤモリ類に一律に当てはまるものではありません。まぶたの有無や指先の形は分類を考える手がかりになりますが、正確な種類の判定にはほかの特徴も必要です。
日本に生息するヤモリの種類一覧
日本には、住宅の壁などで見かける身近なヤモリから、特定の島や地域に分布する希少なヤモリまで、さまざまな種類が生息しています。
ここでは代表的な6種類を紹介します。なお、日本にはこのほかにもヤモリ類が分布しており、以下はすべての種類を網羅した一覧ではありません。
| 種類 | 主な分布・確認地域 | 特徴 |
|---|---|---|
| ニホンヤモリ | 本州・四国・九州など | 住宅地でもよく見られる |
| ミナミヤモリ | 九州南部・琉球列島など | ニホンヤモリに似た姿 |
| ホオグロヤモリ | 南西諸島・小笠原諸島など | 建物周辺にも生息する |
| タワヤモリ | 瀬戸内海沿岸など | 岩場を利用する小型種 |
| ヤクヤモリ | 九州南部・大隅諸島など | 比較的大きな日本産ヤモリ |
| オガサワラヤモリ | 小笠原諸島・南西諸島など | 単為生殖する個体群が知られる |
それぞれの生息地域や外見には違いがありますが、近縁種では見た目だけで区別することが難しい場合もあります。
ニホンヤモリ

ニホンヤモリは、日本の住宅地で最も身近に見られるヤモリの一種です。学名はGekko japonicusで、本州・四国・九州などに広く分布しています。
全長は一般的に10~14cm程度で、体の色は灰褐色から淡い褐色をしています。背中には不規則な模様があり、体色は周囲の環境や活動状態によって変化することがあります。
夜行性で、日中は建物の隙間や物陰などに隠れています。夜になると灯りに集まる昆虫を狙い、窓や外壁などに姿を現します。
指先には壁面に付着できる構造があり、ガラスや垂直な壁を移動することができます。
ニホンヤモリは、人間の生活環境と関わりが深く、住宅の周辺で小さな昆虫を食べて暮らしています。ただし、地域によっては似た種類も生息しているため、見つけたヤモリが必ずニホンヤモリとは限りません。
ミナミヤモリ

ミナミヤモリは、九州南部や琉球列島などに自然分布するヤモリです。学名はGekko hokouensisで、ニホンヤモリとよく似た外見をしています。
森林や林縁、住宅地などにも生息し、夜間に昆虫などを捕食します。体は灰褐色を基調としており、背中には暗色の斑紋が見られます。
ニホンヤモリとの区別には、体表の鱗や尾の形態など、細かな特徴の確認が必要です。体色や模様だけで確実に見分けることは難しい場合があります。
また、ミナミヤモリは本来の分布域以外にも、人間の活動に伴って移動・定着した地域があります。
国立環境研究所の資料では、神奈川県や静岡県、和歌山県、八丈島などにも移入集団が確認されていると紹介されています。
屋久島などでは在来のヤモリとの競争や交雑が問題になっているため、地域の生態系との関係も重要な種類です。
ホオグロヤモリ

ホオグロヤモリは、学名をHemidactylus frenatusというヤモリで、熱帯・亜熱帯地域を中心に広く分布しています。
日本では南西諸島や小笠原諸島などで確認されており、建物の壁面や住宅地の周辺にも姿を現します。
体は比較的細身で、灰色や褐色を基調としています。体色が変化するため、明るい場所と暗い場所では見た目の印象が異なることがあります。
名前に「ホオグロ」と付いていますが、頬の色だけでほかのヤモリと確実に見分けられるわけではありません。
夜行性で、小型の昆虫やクモなどを食べます。人間の生活圏にも適応しており、建物周辺の照明に集まる虫を捕らえる姿が見られます。
なお、ホオグロヤモリは世界各地で人為的な移動による分布拡大が知られている種類でもあります。
タワヤモリ

タワヤモリは、学名をGekko tawaensisという日本のヤモリです。主に瀬戸内海沿岸などに分布し、岩場や石垣などを利用して生活しています。
ニホンヤモリと比較すると、自然の岩場などとの結びつきが強い種類として知られています。
体は灰褐色を基調とし、背面には暗色の模様が見られます。外見はニホンヤモリに似ていますが、鱗の特徴や分布などに違いがあります。
タワヤモリは生息地の環境変化に影響を受けやすく、環境省のレッドリストでは準絶滅危惧に位置付けられています。
特に、生息地の開発やほかのヤモリとの競争・交雑などが懸念されています。
このような種類を野外で見つけた場合は、安易に捕獲せず、生息地の保全や地域の採集規制にも配慮することが大切です。
ヤクヤモリ

ヤクヤモリは、学名をGekko yakuensisという日本固有のヤモリです。大隅諸島や九州南部の一部などに分布しています。
国内の近縁種の中では比較的大きく、頭胴長が6cmを超える個体も見られます。長い尾を含めると、さらに大きく見えます。
背中は灰褐色から緑褐色で、暗い模様が左右に分かれて並ぶ傾向があります。また、腹面に暗色の斑紋が見られることも特徴です。
森林や海岸沿いの岩場などに生息し、夜間を中心に活動します。
環境省では絶滅危惧Ⅱ類に分類されており、生息地の環境変化に加え、ミナミヤモリとの交雑や競争も問題になっています。
そのため、一般的なペットとして安易に採集する対象ではありません。希少な地域個体群の保全を優先して考える必要があります。
オガサワラヤモリ

オガサワラヤモリは、学名をLepidodactylus lugubrisという小型のヤモリです。日本では小笠原諸島や南西諸島などで確認されています。
体長は全長でおおむね8~10cm程度と小さく、灰褐色の体に細かな模様が見られます。細身の体と長い尾が特徴です。
この種類の興味深い特徴が、単為生殖を行うことです。
単為生殖とは、メスがオスとの交尾を伴わずに子孫を残す繁殖方法です。オガサワラヤモリには、このような方法で繁殖する個体群が知られています。
また、自然分布と人為的な移入の両方が関わる複雑な分布を持つことも特徴です。
名前に「オガサワラ」と付いていますが、小笠原諸島だけに生息する固有種というわけではありません。
ペットとして人気のヤモリの種類一覧
ヤモリの中には、ペットとして飼育されている種類も数多く存在します。一般的な爬虫類ショップで見かける種類から、専門店で扱われる珍しい種類までさまざまです。
ここでは代表的な6種類を紹介します。種類によって活動時間や食性、必要な飼育環境が異なるため、見た目だけで選ばないことも大切です。
| 種類 | 主な特徴 | 生活スタイル |
|---|---|---|
| ヒョウモントカゲモドキ | 斑点模様・豊富な品種 | 地表性 |
| クレステッドゲッコー | まつ毛のような突起 | 樹上性 |
| ニシアフリカトカゲモドキ | 太い尾・丸みのある体 | 地表性 |
| ガーゴイルゲッコー | 頭部の突起・多彩な模様 | 樹上性 |
| トッケイヤモリ | 大型・鮮やかな斑点 | 樹上性 |
| ヒルヤモリ | 鮮やかな緑色の種類が多い | 主に樹上性 |
一般的には、ヒョウモントカゲモドキやクレステッドゲッコーなどが初心者向けの候補として紹介されることが多いですが、どの種類も適切な飼育設備や日常管理が必要です。
ヒョウモントカゲモドキ(レオパ)

ヒョウモントカゲモドキは、通称レオパと呼ばれる人気のペット用ヤモリです。学名はEublepharis maculariusで、パキスタンやアフガニスタンなどの乾燥した地域に分布しています。
全長は一般的に20~25cm程度で、体にはヒョウのような斑点模様があります。飼育下では品種改良が進んでおり、黄色や白色、オレンジ色など、さまざまな体色の個体が見られます。
地表で生活する種類で、ニホンヤモリのようにガラス面を登ることはできません。また、動くまぶたがあるため、目を閉じることができます。
主に昆虫を食べるため、飼育下ではコオロギやデュビアなどの餌昆虫が利用されます。
比較的飼育情報が豊富で、専用の飼育用品も入手しやすいことから、初めて爬虫類を飼う方にも候補として挙げられる種類です。
ただし、温度管理や栄養バランス、脱皮の確認などは欠かせません。性格にも個体差があり、すべての個体がハンドリングを好むわけではありません。

クレステッドゲッコー

クレステッドゲッコーは、ニューカレドニアに生息する樹上性のヤモリです。学名はCorrelophus ciliatusで、クレスという愛称でも知られています。
最大の特徴は、目の上から背中にかけて続くトサカ状の突起です。目の周囲がまつ毛のように見えることから、独特の表情を持つヤモリとして人気があります。
全長は一般的に20cm前後で、長い尾と指先の付着能力を利用して枝や壁面を移動します。
樹上性のため、飼育には高さのあるケージや登り木、隠れ場所などが必要です。
野生では昆虫や果実などを食べます。飼育下ではクレステッドゲッコー向けの総合栄養食も利用されており、餌の管理方法がレオパとは異なります。
また、強い高温を苦手とするため、夏場の温度管理には注意が必要です。
飼育環境と餌の特徴がレオパとは大きく異なるため、購入前に生活スタイルの違いを確認しましょう。

ニシアフリカトカゲモドキ

ニシアフリカトカゲモドキは、西アフリカに生息するトカゲモドキ科のヤモリです。学名はHemitheconyx caudicinctusで、ニシアフという愛称で呼ばれています。
全長は一般的に20cm前後で、丸みのある頭部と太い尾が特徴です。体には茶色やオレンジ色を基調とした帯状の模様が見られます。
尾には脂肪を蓄える働きがあり、健康状態や栄養状態によって太さが変化することがあります。
ヒョウモントカゲモドキと同様に地表性で、昆虫を中心とした食事を取ります。
ただし、ニシアフリカトカゲモドキはレオパとは異なる生息環境に適応しており、湿度管理などに違いがあります。
見た目が似ているからといって、飼育方法をそのまま共通化しないようにしましょう。
性格は比較的おとなしいと紹介されることがありますが、警戒心や人への慣れ方には個体差があります。
ガーゴイルゲッコー

ガーゴイルゲッコーは、ニューカレドニアに生息する樹上性のヤモリです。学名はRhacodactylus auriculatusで、ガーゴイルという名前は頭部の突起が怪物の彫刻を連想させることに由来しています。
全長は一般的に20cm前後で、体には縞模様や斑点模様が見られます。赤色やオレンジ色などが目立つ個体も存在します。
クレステッドゲッコーと近い地域に生息していますが、体つきや頭部の形状には違いがあります。
樹上性のため、飼育には高さのあるケージや登り木が必要です。また、植物や昆虫などを利用する食性を持ち、飼育下では対応する総合栄養食なども利用されています。
比較的丈夫な種類として紹介されることもありますが、温度・湿度管理が不要という意味ではありません。
また、尾を自切することがあり、個体の扱いには注意が必要です。

トッケイヤモリ

トッケイヤモリは、東南アジアなどに生息する大型のヤモリです。学名はGekko geckoで、トッケイという独特な鳴き声に由来する名前で知られています。
全長は30cmを超えることがあり、ヤモリの中でも比較的大型の種類です。青灰色の体にオレンジ色や赤みのある斑点模様が並び、非常に目立つ外見をしています。
樹上性で、木の幹や建物の壁などを移動しながら昆虫や小動物を捕食します。
トッケイヤモリは警戒心が強く、防御的な行動を取ることがあります。大きな口と力強い顎を持つため、無理に触ろうとすると噛まれる危険があります。
そのため、一般的には初心者向けというより、ヤモリの行動や取り扱いに慣れた飼育者に適した種類です。
また、野生個体の国際取引には保全上の注意が必要で、ワシントン条約附属書Ⅱに掲載されています。購入する場合は、個体の由来や適切な流通経路を確認しましょう。

ヒルヤモリ

ヒルヤモリは、主にマダガスカルや周辺の島々などに分布する昼行性のヤモリの仲間です。ペットとしてはオオヒルヤモリやヨツメヒルヤモリなどが知られています。
鮮やかな緑色の体に赤い斑点や模様を持つ種類が多く、ほかのヤモリにはない華やかな外見が魅力です。
夜間に活動する種類が多いヤモリ類の中では珍しく、日中に活発に行動します。そのため、飼育下でも明るい時間帯に動く姿を観察しやすいという特徴があります。
樹上性で、枝や植物の上を移動しながら昆虫や花の蜜などを利用します。
ただし、ヒルヤモリは体表の皮膚が傷つきやすい種類が多く、無理なハンドリングには向いていません。
また、昼行性であることから、適切な照明や紫外線環境を整える必要があります。
観察を中心とした飼育に向いている種類として考えるとよいでしょう。
珍しい見た目をしたヤモリの種類
ヤモリの中には、一般的なニホンヤモリやレオパとは大きく異なる外見を持つ種類もいます。
木の葉にそっくりな姿をしたヤモリや、尾の形が独特なヤモリなど、進化の過程でさまざまな特徴を獲得してきました。
ここでは、特に見た目の個性が強い3種類のヤモリを紹介します。
ヘラオヤモリ|木の葉や樹皮に似た姿
ヘラオヤモリは、主にマダガスカルに分布するUroplatus属のヤモリの仲間です。
最大の特徴は、木の葉や樹皮に似た外見です。種類によって体の形や模様が異なり、枯れ葉のような尾を持つ種類や、木の幹と見分けがつきにくい体色をした種類が存在します。
例えば、エダハヘラオヤモリは枯れ葉に似た姿で知られています。また、大型のヘラオヤモリには樹皮のような模様を持つ種類もいます。
このような特徴は、周囲の環境に溶け込み、外敵から身を守ることに役立つと考えられています。
ヘラオヤモリの多くは夜行性で、森林内の樹木などを利用して生活します。
独特な外見から観賞用の爬虫類として注目されていますが、種類によっては飼育環境の維持が難しく、初心者向けとはいえません。
また、野生個体の採集や国際取引が保全上の問題になることもあるため、購入する場合は流通経路の確認が必要です。
タマオヤモリ|丸みのある尾が特徴

タマオヤモリは、オーストラリアに生息するNephrurus属などのヤモリの仲間です。
その名前のとおり、尾の先端が丸く膨らんだ独特な姿を持つ種類が知られています。
一般的なヤモリの長く細い尾とは異なり、短めの尾の先端に丸い部分が付いているように見えることが特徴です。
体は比較的ずんぐりとしており、大きな目と短い四肢を持っています。乾燥した地域に生息する種類も多く、地表を歩きながら昆虫などを捕食します。
タマオヤモリの仲間には複数の種類があり、体の大きさや模様、尾の形にも違いがあります。
ペットとして流通することもありますが、一般的なレオパと同じ飼育方法が適するとは限りません。
特に種類による温度や湿度の違いを確認し、生息地の環境に合った飼育設備を整えることが必要です。
ソメワケササクレヤモリ|独特な体色と模様
ソメワケササクレヤモリは、マダガスカルに分布するParoedura pictaという種類です。
体には褐色や灰色を基調とした模様があり、個体によって明暗や斑紋の印象が異なります。
名前にある「ササクレ」は、体表の鱗の特徴に由来しています。一般的なニホンヤモリとは違った、細かな凹凸のある体表が特徴です。
地表で生活する種類で、夜間を中心に昆虫などを捕食します。
飼育下では繁殖された個体も流通しており、比較的小型のヤモリとして知られています。
ただし、小型だからといって飼育が簡単とは限りません。温度管理や餌の大きさ、脱走防止などに注意する必要があります。
また、繁殖力が高いことで知られているため、複数個体を飼育する場合は繁殖管理についても考えておきましょう。
ヤモリの種類を見分けるポイント

家の壁や庭などでヤモリを見つけたとき、何という種類なのか気になることもあるでしょう。
ヤモリの種類を見分けるには、体色や模様だけでなく、指先の構造や生息地域など、複数の特徴を確認する必要があります。
ただし、近縁種では外見が非常によく似ていることもあり、写真だけで正確に判定できない場合があります。
体の大きさ・色・模様の違い
まず確認したいのが、体の大きさや色、背中の模様です。
ニホンヤモリなどは灰褐色を基調とした地味な体色ですが、ヒルヤモリの仲間には鮮やかな緑色や赤い模様を持つ種類もいます。
また、レオパは斑点模様、トッケイヤモリは大きな斑点模様、ヘラオヤモリは周囲の樹皮や葉に似た模様が特徴です。
ただし、ヤモリの体色は温度や明るさ、個体の状態などによって変化する場合があります。
特に日本に生息するニホンヤモリやミナミヤモリなどは、体色だけでは判別が難しいことがあります。
また、尾が途中で切れて再生している個体では、通常と異なる形や色になることもあります。
体色や模様だけで種類を断定しないことが、正しい見分け方の基本です。
指先の形やまぶたの有無
ヤモリの分類を考えるときには、指先の形やまぶたの有無も参考になります。
例えば、ニホンヤモリは指先に壁面へ付着するための構造を持っています。一方、ヒョウモントカゲモドキには同様の付着構造が発達していません。
まぶたにも違いがあり、レオパなどのトカゲモドキ類には動くまぶたがあります。
また、トッケイヤモリやクレステッドゲッコーなどは、まぶたの構造や指先の特徴がレオパとは異なります。
ただし、指先の付着構造の有無だけで、すべての種類を正確に分類できるわけではありません。
日本産ヤモリの近縁種を見分ける際には、体表の鱗の配列や尾の鱗の形状など、より細かな観察が必要になることもあります。
無理に捕まえて体を確認しようとすると、尾の自切や負傷につながる可能性があります。観察できる範囲で特徴を確認するようにしましょう。
生息地域から種類を絞り込む
日本でヤモリを見つけた場合は、生息地域も種類を判断する重要な手がかりになります。
例えば、本州の住宅地で見かけるヤモリとしては、ニホンヤモリが代表的です。
一方、九州南部や琉球列島ではミナミヤモリなども見られ、地域によって確認される種類が異なります。
また、瀬戸内海沿岸などにはタワヤモリが生息し、屋久島や九州南部の一部などにはヤクヤモリが分布しています。
ただし、人間の活動に伴って本来の分布域以外へ移動したヤモリもいます。そのため、分布図だけで種類を確定することはできません。
見つけた場所、体の模様、指先の形、活動していた時間帯などを記録すると、種類を調べる際の参考になります。
正確な識別が必要な場合は、地域の自然史博物館や専門家などに確認するとよいでしょう。
飼いやすいヤモリはどの種類?選び方のポイント

ヤモリをペットとして飼いたい場合は、見た目の好みだけでなく、必要な飼育環境や餌、成長後の大きさなどを考えて選ぶ必要があります。
同じヤモリの仲間でも、地表で生活する種類と木の上で生活する種類では、適したケージや設備が異なります。
初心者が飼育しやすいヤモリの特徴
初めてヤモリを飼育する場合は、飼育情報が豊富で、必要な用品や餌を入手しやすい種類を選ぶことが大切です。
代表的な候補としては、ヒョウモントカゲモドキやクレステッドゲッコーなどが挙げられます。
レオパは地表性で、昆虫を中心に食べる種類です。専用の飼育用品や飼育情報が比較的豊富で、環境を整えやすいことが特徴です。
一方、クレステッドゲッコーは樹上性で、高さのあるケージが必要ですが、専用の総合栄養食を利用できるという特徴があります。
ただし、どちらも適切な温度・湿度管理が必要で、飼育を始めれば必ず簡単に育てられるというわけではありません。
また、飼育前には成体の大きさや寿命も確認しましょう。ヤモリの仲間には10年以上生きる種類も多いため、長期間の飼育を前提に考える必要があります。
初心者の場合は、飼育情報と用品を入手しやすい種類から検討すると、環境を整えやすくなります。
地表性と樹上性で飼育環境が異なる
ヤモリの飼育では、地表性と樹上性の違いを理解しておくことが大切です。
地表性のヤモリは、地面を歩いたり岩陰に隠れたりして生活します。そのため、ケージは床面積を重視し、隠れ場所や適切な床材を用意します。
ヒョウモントカゲモドキやニシアフリカトカゲモドキなどが代表的です。
一方、樹上性のヤモリは木や枝を利用して生活するため、ケージの高さが重要になります。登り木や植物などを配置し、立体的に移動できる環境を整えます。
クレステッドゲッコーやガーゴイルゲッコー、トッケイヤモリなどが樹上性の代表例です。
また、温度や湿度についても、生息地や種類によって適した条件が異なります。
例えば、乾燥した地域に生息するレオパと、比較的湿度の高い環境に生息するニシアフリカトカゲモドキでは、湿度管理の考え方が異なります。
ヤモリの種類に合った飼育環境を用意することが、健康的な飼育の基本になります。
野生のヤモリを捕まえて飼育してもよい?
家の庭や壁などでヤモリを見つけると、捕まえて飼育してみたいと思う方もいるかもしれません。
しかし、野生のヤモリを飼育する場合には、種類や採集場所の法的な規制を確認する必要があります。
一般的なニホンヤモリなどは、すべての地域で一律に捕獲が禁止されているわけではありません。ただし、自然公園の特別な区域や保護対象となっている種類などでは、採集が制限される場合があります。
特に、希少なヤモリや地域固有の種類については、生息地の保全が重要です。
また、法律上の問題がない場合でも、野生個体は人間の管理する環境に慣れていないため、ストレスや餌付けの難しさなどが生じることがあります。
野生のヤモリは生きた昆虫を食べる種類が多く、必要な餌を継続して確保できるかも考えなければなりません。
初めて飼育する場合は、適切に繁殖・管理された個体を信頼できる販売店から迎える方法も検討しましょう。
なお、一度飼育したヤモリを自然界へ放すことは、生態系への影響や病原体の持ち込みにつながる可能性があるため避けてください。
ヤモリの種類に関するよくある質問

ヤモリの種類を調べていると、家で見つけたヤモリの名前や、大きさ、体の色などについて疑問を感じることもあるでしょう。
ここでは、ヤモリの種類に関するよくある質問を紹介します。
家の壁や窓にいるヤモリは何という種類?
本州・四国・九州などの住宅地で壁や窓に張り付いているヤモリは、ニホンヤモリである可能性があります。
ニホンヤモリは夜行性で、照明に集まる昆虫を食べるため、夜間に窓や外壁などで見かけることがあります。
ただし、地域によってはミナミヤモリなど、外見が似た別の種類が生息している場合もあります。
そのため、家で見かけたヤモリが必ずニホンヤモリとは限りません。正確に調べたい場合は、見つけた地域や体の特徴を確認しましょう。
日本で見られる大きなヤモリは?
日本に生息するヤモリの中では、ヤクヤモリなどが比較的大きな種類として知られています。
一方、一般的な住宅地で見かけるニホンヤモリも、成長した個体では全長10cmを超えることがあります。
また、ヤモリの仲間にはトッケイヤモリのように全長30cmを超える大型種もいますが、日本の一般的な住宅地で自然に見られる種類ではありません。
なお、ヤモリの大きさを比較するときは、尾を含めた全長なのか、頭部から胴体までの頭胴長なのかを確認する必要があります。
尾が切れている個体や再生した個体では、全長が通常と異なることもあります。
緑色や青色のヤモリもいる?
ヤモリの中には、鮮やかな緑色や青みのある体色を持つ種類もいます。
例えば、マダガスカルなどに生息するヒルヤモリの仲間には、明るい緑色の体に赤い模様が入る種類が知られています。
また、ウィリアムズヒルヤモリとして知られるLygodactylus williamsiでは、成熟したオスに鮮やかな青色の体色が見られることがあります。
ただし、同じ種類でも性別や年齢によって体色が異なる場合があります。特にウィリアムズヒルヤモリでは、メスや未成熟個体がオスと同じ鮮やかな青色とは限りません。
また、希少なヤモリには保護や国際取引に関する規制があるため、珍しい種類をペットとして検討する場合は注意が必要です。
美しい体色だけでなく保全状況も確認することが大切です。
ヤモリの種類一覧【まとめ】

ヤモリには世界中にさまざまな種類があり、日本の住宅地で見かける身近な種類から、鮮やかな体色や独特な姿を持つ海外の種類まで存在します。
日本に生息する代表的な種類には、ニホンヤモリやミナミヤモリ、ホオグロヤモリ、タワヤモリ、ヤクヤモリなどがあります。似た種類も多く、正確に見分けるには体の模様や鱗、生息地域などを確認する必要があります。
また、ペットとして人気のヤモリには、ヒョウモントカゲモドキやクレステッドゲッコー、ニシアフリカトカゲモドキ、ガーゴイルゲッコーなどがいます。
それぞれ生活スタイルや必要な飼育環境が異なるため、飼育する場合は種類ごとの生態や飼育条件を理解することが大切です。
野生でヤモリを見つけた場合は、無理に捕まえず、生息地域や体の特徴を観察してみましょう。珍しい種類や希少な種類では、保全状況や採集規制への配慮も必要です。
身近なニホンヤモリから世界の珍しいヤモリまで、それぞれの特徴を知ることで、ヤモリという動物の多様な魅力をより深く理解できるでしょう。
