ボールパイソンを初めて飼育する方にとって、「どのくらいの頻度で餌を与えればいいのか」「どんな餌を選べばいいのか」は悩みやすいポイントです。
実は、ボールパイソンの餌の与え方は年齢や体格、季節によっても大きく変わってきます。
さらに、個体によってはまったく食べなくなる「拒食」に悩まされることもあります。
この記事では、ベビー期・成体期・シニア期それぞれの適切な給餌ペースから、餌の種類・与える時間帯・拒食時の対処法まで、実際の飼育経験に基づいて詳しく解説します。
ボールパイソンの餌は何?

ボールパイソンの主な餌は、マウスやラットといった小型の哺乳類です。
これらは生きた状態の「活餌」と、冷凍保存された「冷凍餌」の2種類に分かれますが、現在は冷凍餌を使うのが主流となっています。
与える際には、個体の成長段階や体格に合ったサイズを選ぶことが重要です。
餌が大きすぎると消化不良や吐き戻しの原因になるため、目安として**「胴体の太さと同程度の餌」を1匹**が基本です。
市販されているマウスやラットには、以下のようなサイズ分類があります。
- ピンクマウス:生後間もない毛のないマウス。ごく小さなベビーに使用。
- ファジーマウス:毛が生え始めたやや大きめの幼体。ベビー期に。
- ホッパーマウス:動きが活発な若齢マウス。ベビー後半〜亜成体向け。
- アダルトマウス:成長しきった標準サイズのマウス。亜成体〜成体向け。
- リタイアマウス:繁殖に使われた後の大型のマウス。大型個体に適する。
ラットにも同様にサイズの段階がありますが、マウスより大きめなので、体格のしっかりした個体や成長促進を目的とした給餌に使用されます。
初心者はまずマウスから始めるのが安心です。
餌は爬虫類専門店やオンラインショップで冷凍品として入手できますが、近隣に取り扱い店舗がない場合はあらかじめ通販ルートを確保しておくと安心です。
ボールパイソンの餌でネズミ以外は何がある?

ボールパイソンの主食はマウスやラットですが、それ以外にもいくつかの選択肢があります。
ただし、あくまで「代用食」や「補助食」として扱われるものであり、主食として安定的に使えるのはやはりネズミ類です。
以下に、ネズミ以外で与えられることのある餌を紹介します。
ニワトリ(ヒヨコ)
冷凍のヒヨコは「ピンクマウスよりも安価で栄養価が高い」とされ、一部の飼育者に使われています。
脂肪分が高めで骨格も硬いため、連続して与えると内臓に負担をかける可能性があります。
与える場合は数回に一度程度の補助食として使うのがよいでしょう。
ウズラ(ヒナ・成体)
ヒヨコと同様にウズラも餌用として流通しています。
ウズラはやや高価ですが、ヒヨコよりも脂肪分が少なく、消化しやすいという特徴があります。
ヒナ〜成体までサイズも豊富にあり、大型個体には成鳥のウズラを与えるケースもあります。
ウサギ(ピンクラビット)
ピンクラビット(生まれたてのウサギ)は、一部の超大型のボールパイソンや繁殖期の栄養補給として使用されることがあります。
ただし、流通量が少なく価格も高いため、日常的に使われることは少ないです。
また、骨が太く脂肪が多いため、頻繁な使用には向きません。
コオロギなどの昆虫
ボールパイソンは基本的に昆虫を食べる習性がありません。
しかし、拒食中にどうしても餌を受け付けない場合、「刺激用」としてコオロギやデュビア(アルゼンチンモリゴキブリ)を動かして反応を引き出す例はあります。
これは餌ではなく、反応を誘導するトリガーとして用いられるだけです。
野菜や果物
ボールパイソンは完全な肉食性のため、野菜や果物は一切必要ありませんし、消化もできません。
誤って口にすることがないよう注意し、餌として与えるのは避けてください。
その他(変わり種)
SNSや動画サイトでは、「ササミ」「ゆで卵」「魚」などを与えている例が見られることもありますが、これらはあくまで変わり種の挑戦的な事例であり、基本的には推奨されません。
不適切な餌は栄養失調や内臓疾患の原因になることがあります。
ボールパイソンの餌の量と頻度は?与える時間は?

ベビー期(生後~1年程度)
ボールパイソンのベビーは成長が著しい時期で、代謝も高く、比較的頻繁に餌を必要とします。
一般的には3〜5日に1回、排泄を確認してから次の餌を与えるのが理想的です。
餌のサイズは「ホッパーマウス」や「ファジーマウス」など、個体の胴回りと同じくらいの太さのものを1匹ずつ与えます。
与えすぎると吐き戻しや消化不良の原因になるため、1回に1匹が基本です。
また、ベビーの頃は環境変化に敏感なので、ストレスを与えないように給餌前後はハンドリングを控え、落ち着いた時間帯(夜間)に与えると成功率が上がります。
成体期(1〜4歳程度)
1歳を超えてくると成長スピードが緩やかになり、餌の頻度も週に1回ほどに落ち着いてきます。
この時期には「アダルトマウス」や「小さめのラット(ウィークリラット)」が使われることが多いです。
個体の体格に合わせて餌のサイズを調整し、「胴体の太さと同じ程度の餌を1匹」という目安はこの時期も変わりません。
食べる勢いが良くて2匹目を欲しがる場合もありますが、与えすぎは肥満や消化不良につながるため、基本は1匹までに留めるのが安全です。
また、この時期になると拒食が起きやすくなります。とくに秋〜冬にかけての乾季シーズンに入ると、自然と食欲が落ちる個体も出てきますが、体重の減少が激しくない限りは慌てなくても大丈夫です。
シニア期(5歳以上)
ボールパイソンは10年以上生きる長寿のヘビですが、5歳を超えると代謝が落ち、必要なエネルギー量も減ってきます。そのため、餌の頻度は2~3週間に1回でも十分なことが多いです。
この時期の個体にはやや小さめのラットやアダルトマウスを与えるのが一般的ですが、体格や健康状態によって量と頻度は柔軟に調整する必要があります。
また、内臓や消化機能の衰えから、若い頃と同じ量や頻度の給餌では体に負担がかかることもあります。
食後に長くぐったりしていたり、吐き戻しが見られるようなら、一度餌のサイズや頻度を見直してみてください。
餌の頻度は季節で変わる?夏と冬で与え方に違いはある?

ボールパイソンは外気温の変化に影響されやすく、季節によって餌の食いつきや頻度に差が出ることがあります。
特に冬場は、室温が下がることで代謝が落ち、餌を食べなくなる個体が多く見られます。
温度や湿度を適切に保っていても、もともとの野生環境での習性から「冬はあまり動かず餌も取らない」というリズムが残っているため、ある程度の拒食は自然なことと考えて問題ありません。
逆に、夏は活動が活発になり、よく食べる傾向にありますが、ケージ内が高温になりすぎるとストレスで逆に食欲が落ちる場合もあるため、冷却ファンやエアコンなどで適度な温度を保ちましょう。
このように、餌の頻度は通年で固定ではなく、個体の状態や季節の環境変化に応じて調整していくことが大切です。
何日も食べない」と焦る前に、まずは環境や季節による変化を見直してみてください。
ボールパイソンが拒食したときの対処法

何日食べなかったら拒食?
ボールパイソンは、2〜3週間程度食べないだけでは拒食とは言いません。
とくに成体では月に1回程度の給餌でも問題ないため、「1〜2週間食べない」程度で過剰に心配する必要はありません。
一方、1か月以上まったく食べない場合には拒食の可能性を疑っても良いでしょう。
特に、体重が減り始めている、元気がない、排泄も止まっているといった症状が伴っている場合は注意が必要です。
脱皮前の拒食

ボールパイソンは脱皮前になると食欲が落ち、餌を拒むことがよくあります。
特に目が白く濁る「白濁期」には視界が悪くなるため、警戒心が強まり、餌に反応しなくなる傾向があります。
このような脱皮前の拒食はごく自然な現象であり、無理に餌を与える必要はありません。
脱皮が完了すれば再び食欲が戻る個体がほとんどです。
ボールパイソンの脱皮前後の食欲の変化や、餌を与えるタイミングについて詳しく知りたい方は、以下の記事で解説しています。

拒食改善アイディア
ボールパイソンが餌に反応しなくなった場合、以下のような工夫で改善できることがあります。
- 与える餌のサイズや種類を変えてみる(例:マウス→ラット、冷凍→活餌など)
- 夜間や薄暗い環境で与える(夜行性のため)
- 餌を温めて匂いを強調する(ぬるま湯で解凍したあとにドライヤーなどで軽く温める)
- 餌をピンセットで動かして「生きているように見せる」
- 脱皮前後のタイミングを避ける
- 給餌の頻度を一旦落とし、数週間空けてから再トライする
また、ケージ内の温度が低すぎる・高すぎる場合も食欲に影響するため、30〜32℃の保温スポットと、適度な湿度(60〜70%程度)を維持しているか確認しましょう。
強制給餌について
ボールパイソンは数か月食べなくても、体重が極端に落ちない限りは基本的に問題ありません。
安易な強制給餌はストレスや誤嚥のリスクが高く、推奨できません。
特にベビー期でなければ、3か月〜半年程度の拒食は自然な休眠の一部である場合もあります。
どうしても給餌が必要な場合でも、まずはショップや専門家に相談し、自宅で無理に行うのではなく、経験のある人の手で慎重に対応するべきです。
獣医に診せる判断基準
以下のような症状がある場合は、爬虫類を診られる獣医の受診を検討してください。
- 拒食と同時に体重が急激に減っている
- いつもよりぐったりして動かない
- 口や鼻から分泌物が出ている
- 便や尿の状態が悪い、または出ていない
- 明らかな脱水症状や皮膚の異常がある
また、脱皮不全やケガがきっかけで拒食が起きている場合もありますので、外見チェックも行いましょう。
まとめ
ボールパイソンの給餌は、個体の成長段階や体調に応じて柔軟に調整していく必要があります。
基本は冷凍マウスやラットを使い、サイズは胴体の太さを目安に1匹ずつ。頻度はベビー期なら週2回、成体で月に1~2回が目安です。
季節によって食欲に波があったり、脱皮前に餌を食べなくなったりすることもありますが、慌てず様子を見ましょう。
拒食が長期にわたる場合や体重減少が見られる場合は、獣医や専門家に相談するのが安心です。
正しい知識をもとに給餌すれば、ボールパイソンとの生活はより安定したものになりますよ。