グリーンイグアナは、その鮮やかな緑色と草食性という飼いやすさから、爬虫類ペットとして今でも根強い人気を誇ります。
「野菜だけで飼えるから簡単そう」と思われがちですが、実際に飼育してみると、意外と手間がかかるのが現実です。
野菜の種類や切り方、給餌の頻度や栄養バランス、さらに意外と見落とされがちな餌代まで、飼育前に知っておくべきポイントは盛りだくさん。
この記事では、グリーンイグアナの餌について、頻度・コスト・注意点を含めて詳しく解説していきます。
グリーンイグアナは草食性!与えるべき主な餌とは?

グリーンイグアナは完全草食性のトカゲで、野菜や果物、野草などを中心とした食生活を送ります。
昆虫や動物性タンパク質を与える必要はありません。
むしろ、肉類や高タンパクな人工フードを与え続けると腎臓に負担がかかり、寿命を縮めてしまう恐れがあります。
主食にすべき野菜
日常的に与える野菜としては、小松菜・チンゲン菜・豆苗・大根の葉・モロヘイヤ・春菊など、カルシウムが豊富で栄養価の高い葉物野菜が基本です。
栄養バランスを保つために、3~5種類の野菜をローテーションで組み合わせて与えるのが理想です。
昨日の動画…よくよく見かえしたら餌落としといて人間が拾いに来るまで暇だから欠伸してらぁ…#見守りカメラ #グリーンイグアナ #イグアナ#テキピク#爬虫類#greeniguana #reptiles
— テキちゃん@グリーンイグアナ (@tequila_Giguana) April 23, 2025
2025/04/21 pic.twitter.com/56aniVIp5c
また、イグアナは偏食しやすく、好きな野菜ばかりを選んで食べることもあるため、すべての野菜を細かく刻んで混ぜて与えると良いでしょう。
特にベビーの頃は、食感や匂いの違いで食べムラが出やすいため、刻み方の工夫も重要です。
与えない方がいい野菜
草食性といえども、すべての野菜が適しているわけではありません。
ほうれん草・ビーツ・カブの葉などはシュウ酸を多く含み、カルシウムの吸収を阻害するため避けましょう。
また、レタス・キャベツ・きゅうりなど水分が多くて栄養が乏しい野菜は、補助的な位置付けにとどめるべきです。
野菜以外に与えられるもの
与えてもよい果物としては、バナナ・リンゴ・イチゴ・メロンなどが挙げられます。
ただし果物は糖分が高く、肥満や内臓疾患の原因になることがあるため、週に1~2回のおやつ程度に抑えてください。
また、適切に見分けられるなら野草もとても有効な餌になります。
栄養価が高く、季節ごとの変化もあるため、食生活にバリエーションを加えることができます。詳細は後ほど詳しく解説します。
グリーンイグアナの餌の頻度とタイミング|年齢別の目安

グリーンイグアナは草食性で代謝が早いため、肉食爬虫類に比べて食事の回数が多く、食べる量も多いのが特徴です。
年齢や成長段階に応じて適切な給餌頻度を見極めることが、健康維持の鍵となります。
ベビー期(生後0~6ヶ月)
この時期は成長が著しく、1日2回(朝と夕方)の給餌が基本です。
体が小さく消化能力も未熟なため、1回あたりの量を少なめにして、こまめに与えるようにしましょう。
新鮮な野菜を刻んで与えることで、嗜好性も高まり、餌付けしやすくなります。
ヤング期(生後6ヶ月~1年)
この時期は成長が落ち着き始めるものの、まだまだ多くの栄養を必要とします。
基本的には1日1回でOKですが、食欲が旺盛であれば、週に数回は朝と夕の2回に分けて与えても問題ありません。
複数回に分けることで、未消化のリスクも抑えられます。
アダルト期(1年以降)
成体になったイグアナは成長のピークを過ぎ、活動量も落ち着きます。
1日1回の給餌を継続しつつ、個体の体調や食欲に応じて微調整していくのがベストです。
肥満気味の個体には量を控えたり、食べ残しが多ければ餌の種類を見直したりするのも有効です。
老齢個体(おおよそ10歳以上)
高齢になると消化吸収力が落ち、活動量も減っていきます。
毎日与えつつも量は控えめにし、消化のよい野菜を選ぶのがポイントです。
水分を多めに含む野菜や、柔らかい葉物を中心に構成し、サプリメントで栄養を補うと安心です。
人工フードやサプリメントの活用方法

グリーンイグアナの食事は野菜中心ですが、すべてを自然食材だけでまかなうのは難しく、栄養の偏りやミネラル不足を防ぐために人工フードやサプリメントの活用が非常に有効です。
イグアナ専用人工フードの活用
市販のイグアナ用人工フードは、カルシウムやビタミンなどの必要な栄養素がバランスよく配合されており、忙しいときの代替手段や栄養補助として重宝します。
特にズーメッドやレプトミンなどの製品は嗜好性も高く、多くの個体がよく食べてくれます。
ただし、人工フードの多くは動物性たんぱく質や糖分がやや多めに含まれていることがあるため、野菜と併用する形が理想です。
人工フードだけに頼ると、成長が早くなりすぎたり、腎臓に負担がかかったりするリスクがあるため注意しましょう。
サプリメントで栄養を補う
どれだけ食材に気を使っても、不足しがちなのがカルシウムとビタミンD3です。
これらは、骨の健康や成長に欠かせない要素であり、食事に粉末タイプのサプリをふりかけることで補うのが一般的です。
特に屋内飼育で紫外線ライトを使っていない場合や、成長期のベビーには、ビタミンD3入りのカルシウムサプリを週に2〜3回ほど加えるのが効果的です。
一方、紫外線ライトがしっかり当たっている環境では、D3なしのカルシウムパウダーだけで十分なケースもあります。
添加するタイミングと注意点
サプリメントは野菜をカットしたあとにふりかけてよく混ぜることで、イグアナが自然に摂取できます。
かけすぎると嫌がって食べなくなることもあるため、ごく薄くまぶす程度にとどめ、日によって有無を調整しましょう。
野草を活用する場合の注意点
イグアナのエサにできる野草が収穫できるようになって良い。
— なむさんちの爬虫類 (@7a6u3rep) April 11, 2022
ハコベ、タンポポ、ヤブガラシは鉄板。
オオバコやナノハナはコンスタントに採れる場が近隣になく残念。#グリーンイグアナ pic.twitter.com/uayVQzcnpT
グリーンイグアナの餌として、市販の野菜だけでなく野草(雑草)を活用する方法もあります。
自然の恵みを取り入れることで餌代を抑えつつ、バリエーション豊かな食事を実現できるのがメリットです。
ただし、安全に利用するにはいくつかの注意点があります。
イグアナに適した代表的な野草
以下のような野草は、イグアナにとって栄養価が高く、よく食べられる種類です。
- タンポポ(葉・花):カルシウムが豊富で嗜好性も高い
- ヨモギ:香りが強いが、慣れると好んで食べる個体も
- カラスノエンドウ・スズメノエンドウ(マメ科):春先におすすめ
- セイタカアワダチソウ:晩夏~秋にかけて採取可能
これらは人家の近くや空き地などにも生えており、見分けやすいのも利点です。
採取場所の選び方
野草を与える際に最も気をつけるべきは、採取場所の安全性です。
以下のような場所で採取した草は、与えるべきではありません:
- 道路沿い・駐車場付近:排気ガスやオイル汚染の可能性あり
- 公園や学校などの公共地:除草剤や農薬がまかれている場合がある
- 犬の散歩コースや猫の多い場所:糞尿による衛生面のリスクあり
できれば無農薬の家庭菜園の片隅や、自宅の庭先の雑草など、管理状況が明確な場所で採取するのが理想です。
野草活用のメリットとリスク
野草を取り入れることで、季節の変化を感じる餌やりができる点は大きな魅力です。
また、餌代を抑えたい人にとっても大きな味方になります。
ただし、野草の見分けがつかない場合は無理に採取しないことが大前提です。
よく似た毒草や、農薬に汚染されたものを与えると、深刻な健康被害につながる恐れがあります。
知識がないうちは、市販の野菜を中心に、少しずつ安全に取り入れていきましょう。
グリーンイグアナの餌代はいくら?月額コストの目安

「野菜で飼えるなら餌代も安そう」と思われがちなグリーンイグアナですが、実際には野菜の種類・量・入手方法によってコストは大きく変動します。
ここでは、飼育スタイル別におおよその餌代目安をご紹介します。
一般的な家庭で野菜を購入する場合
スーパーで小松菜やチンゲン菜などを定期的に購入して与えるスタイルでは、アダルト個体で1日あたり100円前後の野菜を消費します。
月間にするとおおよそ3,000円程度が相場です。
ベビー期は量が少ないので、1,000~1,500円ほどで済むこともあります。
ただし、野菜をイグアナ専用に買い足すことになるため、「家にあるものでついでに」は意外と難しいのが現実です。
コンビニサラダ・カット野菜を利用する場合
忙しい方や一人暮らしで野菜を常備しづらい方は、コンビニの無添加サラダやスーパーのカット野菜を活用することもあります。
ただし、これらは1パック100〜200円と割高で、1日1パック使用で月3,000〜6,000円前後と高コストになります。
さらに、サラダは葉野菜に偏りがちなので、栄養バランスを考えると限界があります。
野草や自家栽培を取り入れる場合
安全に採取できる野草をうまく活用できる環境があれば、野菜の購入頻度を大きく減らすことが可能です。
さらにベランダ菜園などで小松菜や豆苗などを自家栽培すれば、餌代はぐっと抑えられます。
このようなスタイルを確立できれば、月1,000円未満のコストでの飼育も不可能ではありません。
ただし、手間や知識が必要なため、ある程度飼育経験のある方向きです。
人工フードを併用する場合
人工フードは、1袋(300g〜500g)で1,000円前後の製品が多く、主食ではなく補助的に使用すれば1袋で1〜2ヶ月はもちます。
野菜と併用することでコスパも良くなりますが、主食にする場合はより高額になる可能性もあるため注意しましょう。
餌が野菜=お手軽は誤解?意外と大変なポイント

「野菜だけで飼えるなら簡単そう」と思ってグリーンイグアナを飼い始める方は多いですが、実際に飼ってみると“野菜飼育の難しさ”に直面することが多いです。ここでは、草食トカゲならではの手間や盲点を解説します。
毎日の野菜ストックが意外と大変
イグアナは毎日たくさんの野菜を食べるため、常に数種類の野菜を冷蔵庫にストックしておく必要があります。
家庭でよく使う野菜だけでは足りないことも多く、イグアナのために特別に買い足す必要があることも。
しかも、野菜は日持ちしないため、週に何度も買い物に行かなければなりません。
一人暮らしの場合、イグアナ1匹のためだけに野菜を買っても、使い切る前に腐らせてしまうこともあるでしょう。
餌作りの手間が毎日発生
野菜はそのまま与えるのではなく、細かく刻んで混ぜてから与えるのが基本です。
食べやすくするため、硬い茎を除いたり、偏食を防ぐために均一に混ぜたりと、意外と時間と手間がかかります。
また、においに敏感な個体は、ほんの少し傷んだだけで食べなくなることもあるため、鮮度管理も重要です。
昆虫食のトカゲの方が“ラク”な場面も
爬虫類全般で見ると、コオロギなどを与える肉食性のトカゲの方が餌やりは手軽な場合もあります。
コオロギならケースから出して放り込むだけで済みますし、週に数回の給餌でOKな種も多いです。
それに比べ、グリーンイグアナは毎日の餌やり+野菜の準備が必須なので、「草食=簡単」は大きな誤解といえるでしょう。
まとめ|餌は工夫すればコスパも良好、でも継続管理がカギ!
グリーンイグアナは、完全な草食性で野菜を主食にできる数少ないトカゲです。
人工フードやサプリメント、野草などをうまく組み合わせれば、栄養バランスを取りながらコストも抑えた飼育が可能です。
しかし「野菜だけでいい=お手軽」とは限りません。毎日の餌の準備や野菜のストック、腐敗対策、栄養管理など、むしろ肉食性のトカゲ以上に“手間がかかる”と感じる場面も多いのが現実です。
イグアナの餌やりは、“ラク”さよりも“継続できるかどうか”が何より重要です。
時間に余裕があり、日々のお世話を楽しめる人にこそ向いているトカゲといえるでしょう。