
グリーンイグアナの飼育を始めたいけれど、どんな環境が必要なのか分からない…そんな方に向けた完全ガイドです。
鮮やかな緑色と迫力ある体格で人気のグリーンイグアナは、見た目の美しさから憧れる人も多い一方、実際に飼育するにはしっかりとした知識と準備が必要です。
この記事では、グリーンイグアナの販売価格や必要な設備、温度・湿度管理の方法、食事、性格の特徴、さらにはかかりやすい病気まで、飼育に必要なすべてを詳しく解説しています。
これからグリーンイグアナを迎える予定の方、あるいは飼育を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
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グリーンイグアナの基本情報と飼育の難しさ

グリーンイグアナとは?サイズ・性格・寿命の特徴
グリーンイグアナは、中南米に広く分布する樹上性の大型トカゲです。
その名の通り鮮やかな緑色の体が特徴で、最大で全長1.8〜2メートルほどにまで成長します。
手に乗るほど小さかったベビーも、わずか1〜2年で大型化するため、十分なスペースと設備が必要です。

性格は比較的おとなしく、慣れると人に対して攻撃性を見せない個体も多くいます。
ただし、個体差が大きく、成長にともなって警戒心が強くなったり、発情期には攻撃的になることもあるため、扱いには注意が必要です。
グリーンイグアナの寿命は平均で10〜20年ほど。

正しい飼育管理ができれば長寿も可能なペットですが、そのぶん長い付き合いになることを覚悟しておく必要があります。
飼育が難しいと言われる理由とは?
グリーンイグアナの飼育が「難しい」と言われる主な理由は以下の4点です。
- 広いスペースが必要:
体長が2メートル近くになるため、最終的には専用部屋か放し飼いが必要になります。 - 温度・湿度・紫外線の3点管理が必須:
昼行性のためバスキングスポットや紫外線照射が不可欠。湿度も高めに保つ必要があります。 - 食事は草食性で毎日手間がかかる:
新鮮な葉野菜を中心とした献立を毎日用意する必要があり、手間がかかります。 - 力が強く、扱いに慣れが必要:
特に成長後は力も強くなるため、ハンドリングや保定にある程度の技術が求められます。
これらの条件がそろって初めて快適な飼育環境を整えられるため、初心者向けとは言いづらいのも事実です。
ただし、「手間を惜しまない初心者」にとっては、かえって丁寧に世話ができるぶん向いているとも言えます。
グリーンイグアナの飼育方法!
ケージや放し飼いに必要な広さの目安

グリーンイグアナは成長とともに非常に大きくなり、最終的には全長180cm〜2mに達します。
そのため、一般的な爬虫類用ケージでは対応しきれなくなり、最初から大型の飼育空間を確保しておくことが理想です。
小さなうちは、幅120cm×奥行40cm×高さ150cmほどのガラス温室やケージで飼育可能ですが、1年以内に手狭になります。
グリーンイグアナのケージについては以下の記事で詳しく解説していますので是非参考にしてください。

将来的には、
- ひと部屋を飼育部屋として使用
- 放し飼いに近いスタイル
などを視野に入れた飼育計画が必要です。
なお、グリーンイグアナを放し飼いをする場合でも「自分の生活空間」とはきっちり分けることが望ましく、安全性と清潔さの管理が欠かせません。

温度・湿度の管理方法と注意点

グリーンイグアナは変温動物であり、温度・湿度管理が健康維持のカギになります。
- 日中温度:28〜35℃
- 夜間温度:25〜28℃
- 湿度:50〜70%(理想は60%以上)
温度はエアコンや保温器具で調整し、湿度は加湿器や霧吹き、水皿の設置で補います。
特に湿度が不足すると脱皮不全や皮膚トラブルの原因になるため、デジタル湿度計で定期的に確認しましょう。
また、湿度を保つとケージ内が蒸れて汚れやすくなるため、日々の清掃と換気も重要です。
グリーンイグアナの温度と湿度管理については以下の記事で詳しく解説していますので是非参考にしてください。

紫外線ライトとバスキングスポットの設置

グリーンイグアナは強い紫外線と高温のバスキングスポットを必要とする昼行性トカゲです。
- 紫外線ライト(UVB):波長290〜320nmのUVBライトを必ず設置
- バスキングスポット:40℃前後を保ち、ケージ内の高い場所に設置
- 設置時の注意:ヤケド防止のため、電球にはカバーをつける
また、できれば天気の良い日に屋外で日光浴をさせるのも理想的ですが、その場合は確実にグリーンイグアナが脱走しないよう防止対策を取りましょう(サークルやリードの使用がおすすめです)。

放し飼い時の室内レイアウトと事故防止対策
グリーンイグアナは樹上性で、高い場所に登りたがる習性があります。
グリーンイグアナを放し飼いする場合は、以下のような工夫が必要です。
- 棚や家具の上に登れるスロープを設置
- イグアナが通る場所の物は片付けておく(踏み潰される・落とされるリスクあり)
- 観葉植物やコード類は撤去 or 固定
また、グリーンイグアナは「物をよける」という発想がないため、直進して物を倒すこともあります。
室内の安全対策をしっかり行い、事故やケガを防ぎましょう。

グリーンイグアナの餌の与え方

グリーンイグアナは完全な草食性のトカゲです。
主食は小松菜やチンゲン菜などの葉野菜で、毎日複数種類を刻んで与える必要があります。
彩りがよい餌にはよく反応するため、外皮をむいたカボチャやニンジンをトッピングするのもおすすめです。
また、栄養バランスの補助として、市販のイグアナフードやカルシウム・ビタミン剤を加えるとより安心です。
食事量も体格に比例して増えるため、毎日手間をかけられる覚悟が必要です。
グリーンイグアナの餌については以下の記事で詳しく解説していますので是非参考にしてください。

水分補給と水入れ・霧吹きの工夫
グリーンイグアナは食事から水分を摂る傾向がありますが、新鮮な水の提供も必須です。
- 水入れを常設(清潔に保つ)
- 霧吹きで湿度を保ちつつ水分補給をサポート
- 天気の良い日は温浴や軽い水浴びも有効
水皿は飲むだけでなく湿度維持にも役立ちます。
また、ケージ全体の保湿対策としてもミストや加湿器の併用をおすすめします。
グリーンイグアナの価格相場と初期費用・維持費

個体の価格とモルフ別の値段
グリーンイグアナの販売価格は、ノーマルタイプで5,000〜20,000円程度が一般的です。
一方で、海外でブリーディングされたモルフ(色変わり個体)も流通しており、以下のような種類があります:
- レッドイグアナ(全身が赤みを帯びる)…50,000円前後
- ブルーイグアナ(青みの強い体色)…50,000円前後
- アルビノイグアナ(黒色素が欠失)…100,000円以上
上記のブルーイグアナはあくまでもグリーンイグアナのブルーモルフの愛称を指します。
正式名称としてのブルーイグアナは通常、一般的な市場に流通するようなものではありません。

これらのモルフは見た目の美しさが際立つ反面、価格も高額になります。
購入時には見た目だけでなく健康状態や飼育しやすさも考慮しましょう。
グリーンイグアナの飼育にかかる初期費用の目安
グリーンイグアナの飼育には、設備投資が大きな負担となります。
以下はおおよその初期費用の目安です。
項目 | 費用目安 |
---|---|
イグアナ個体 | 5,000〜20,000円 |
ガラス温室 or 大型ケージ | 約100,000〜130,000円 |
保温器具・照明・紫外線ライト | 約30,000円〜 |
餌・フード類 | 約10,000円〜 |
小物(エサ皿、温湿度計など) | 約10,000円〜 |
合計:最低でも10万円前後の初期投資が必要です。
ガラス温室の代わりにDIYケージを活用すればコストダウンも可能ですが、安全性とメンテナンス性を考慮する必要があります。
月々のランニングコストはどれくらい?
毎月かかる維持費の目安は以下のとおりです。
- 電気代(保温・照明):3,000〜5,000円
- 野菜・フード類:2,000〜3,000円
- 消耗品(サプリ、加湿器の水、掃除用品など):1,000〜2,000円
合計すると、月5,000〜10,000円程度かかることが多く、これに加えて万が一の通院費(爬虫類専門病院)も想定しておくと安心です。
グリーンイグアナがかかりやすい病気と予防法
よくある病気とその特徴
グリーンイグアナは体が大きいぶん、病気に気づきにくいことも多く、早期発見が重要です。特に注意すべき代表的な病気は以下の通りです:
- クル病(くるびょう)
カルシウムやビタミンDの不足による骨の変形。尻尾や背骨の異常で気づくことが多いです。 - 代謝性骨疾患(MBD)
カルシウム・マグネシウム・リンのバランス崩壊で骨折・痙攣・歩行困難などの症状が出ます。 - 外傷性腫瘍
ケージなどで体をぶつけた傷が化膿して腫れることがあります。 - 寄生虫
下痢や拒食、急激な体重減少が見られます。便検査や駆虫処置が必要です。 - 熱中症
高温環境でぐったりし、水分が取れていないと発症。夏だけでなく春秋の変わり目にも注意。
病気の早期発見と日頃の健康チェック
日常的な観察によって、体調の変化を早くキャッチすることが可能です。
以下のポイントを意識しましょう。
- 食欲や排泄に異常がないか
- 体重や見た目に急な変化はないか
- 目のくぼみ、皮膚の乾燥・色の異常などの外観チェック
- 歩き方や登り方などの動作に違和感はないか
少しでも異変を感じたら、自己判断せず、早めに爬虫類専門の動物病院に相談するのが安全です。
信頼できる爬虫類対応病院を事前に探しておこう

グリーンイグアナのような大型爬虫類を診てくれる動物病院は限られているのが現状です。
急な体調不良の際に焦らないよう、以下のような対策を取っておきましょう。
- 近隣の爬虫類対応病院を事前に調べておく
- 通院に使える移動手段(キャリーケースなど)を準備
- 予防目的でも一度診察を受けておくと安心
「病気になってから探す」では間に合わないこともあります。
万一に備えておくことで、イグアナの命を守れる可能性が高まります。
グリーンイグアナの飼育まとめ|初心者でも飼える?
グリーンイグアナの飼育には、以下のようなハードルがあります:
- 広い飼育スペースの確保が必要
- 温度・湿度・紫外線の管理が不可欠
- 毎日の食事準備や掃除など手間がかかる
- 大型化による取り扱いの難しさがある
こうした点から「初心者向きではない」と言われることもありますが、手間を惜しまず丁寧にお世話できる人には十分に飼育可能なペットです。
また、ベビーから育てることで個体との信頼関係が築きやすくなり、扱いやすさも増していきます。
最初は大変に感じるかもしれませんが、成長を見守る喜びや、唯一無二の存在としての魅力はとても大きなものです。
飼育に必要な知識と覚悟を持った上で、じっくり向き合っていける人には、グリーンイグアナは素晴らしいパートナーになってくれるでしょう。