近年、「クサガメはもう飼育しちゃダメなの?」という声が増えています。
ネット上では「外来種に指定されたらしい」「そのうち禁止になるらしい」といった情報が飛び交っており、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、2025年5月現在、クサガメの飼育は禁止されていません。
ただし、クサガメはすでに「外来種」として認識されつつあり、将来的には規制対象になる可能性もゼロではありません。
本記事では、クサガメの外来種問題を踏まえつつ、飼育が禁止される可能性や、現在の法的な位置づけ、さらに気をつけるべき交雑種の規制などをわかりやすく解説します。
🐢クサガメは外来種なの?
かつては日本の川や池で当たり前のように見かけたクサガメ。昔から身近にいることから、長年「日本の在来種」と思われてきました。
ところが近年の研究により、クサガメは中国原産の外来種である可能性が高いことが明らかになってきました。
特に注目されたのは、遺伝子解析による調査結果です。
それによると、日本各地に生息するクサガメは、中国から持ち込まれたものとほぼ同じ遺伝的特徴を持っていることが確認されました。
つまり、自然分布ではなく人為的に持ち込まれた生物と考えられているのです。
実際に、2020年代に入ってから多くの自治体や研究機関が「クサガメは外来種である」という見解を発表しています。

クサガメは、以前は日本の在来種だと思われていたのだが、近年では中国からの外来種だという考えが主流になったのじゃ。
まだ国としての正式な指定はされていないものの、クサガメは「在来種ではない」と認識される方向へと大きく動き始めています。
このような背景から、「クサガメ 飼育禁止」といったキーワードで不安を抱く人が増えているのです。
🐢そのカメ、本当にクサガメ?よくある見間違いに注意
「ウチのカメ、たぶんクサガメだと思うんだけど……」
そんなふうに思っている方の中には、実は別の種類のカメをクサガメと勘違いしているケースも珍しくありません。
ここでは、特に間違いやすい2種について、それぞれの特徴と飼育ルールを整理しておきましょう。
ミシシッピアカミミガメ(アカミミガメ)


- 特徴:耳の後ろに赤いスジがあり、体色は緑〜黒。いわゆる「ミドリガメ」が大きくなった姿。
- 見分けポイント:首をすくめたときに、赤い斑点が目立ちます。
- 飼育ルール(2023年から変更):
- 現在は「条件付特定外来生物」に指定。
- 飼育・捕獲・持ち帰りはOK(許可不要)
- 放流はNG(法律違反)
- 販売や購入は禁止
※持ち帰りや飼育することは問題ありませんが、野外に放すと罰則が科される場合があります。
ニホンイシガメ


- 特徴:甲羅が明るい茶色〜山吹色で、放射状の模様がある。クサガメより甲高でツヤ感もある。
- 見分けポイント:顔つきがやや丸く、脚や首に黄色い点々模様が入ることも。
- 飼育ルール:
- 法律上、飼育や持ち帰りは禁止されていない。
- ただし、絶滅危惧種に指定されており、野生個体の採取は避けるべき。
- 飼育するなら、ペットショップなどで繁殖された個体を購入するのが望ましい。
ニホンイシガメを見つけたらどうする?については以下の記事で詳しく解説していますので是非参考にしてください。


本物のクサガメはこんなカメ!


- 甲羅は暗い緑~黒で、表面に細かな同心円模様(年輪のようなスジ)が見られる。
- 首の横に黄色いストライプがある。
- オスは尾が太くて長め、メスはやや小ぶり。
🐢クサガメは飼育禁止なの?現在の法律と規制
禁止はされていない
「外来種ならもう飼っちゃダメなのでは?」と心配になる方も多いかもしれませんが、2025年5月現在、クサガメの飼育は禁止されていません。
環境省の「特定外来生物」リストにも掲載されておらず、ペットとして飼うことも、譲渡・販売することも法的には可能です。
将来的には法規制がかかるかも
ただし、注意すべき点もあります。
クサガメは「今は禁止されていない」だけであり、将来的に法規制がかかる可能性は十分にあります。
これは、同じく外来種として問題視されてきたアカミミガメ(ミシシッピアカミミガメ)が、2023年に「条件付特定外来生物」に指定された例を見ても明らかです。
また、クサガメと他種(たとえばハナガメ)との交雑個体(雑種)については、すでに特定外来生物に指定されており、飼育・譲渡が禁止されています。
見た目では判別しづらいため、拾ったカメや譲り受けた個体が雑種だった場合、知らずに法律違反となるリスクもあります。
🐢将来的にクサガメは飼育禁止になる可能性はある?
現時点ではクサガメの飼育は禁止されていませんが、「今後どうなるのか?」という点については、規制される可能性があると考えておくべきでしょう。
クサガメはすでに外来種として認識されており、その生息域の拡大や、在来種であるニホンイシガメとの競合・交雑(ウンキュウ)が問題視されています。
実際、環境省や自治体の資料では、「生態系に影響を及ぼす可能性がある種」として、クサガメの存在がたびたび挙げられています。
また、同様に昔から身近だったアカミミガメが2023年に条件付特定外来生物に指定された例を考えると、クサガメも「規制の流れに入ってきている」と見るのが自然です。
環境省は、「影響が大きく、管理が必要と考えられる外来生物」に対して段階的な対応を進めており、クサガメも将来的に特定外来生物に指定される可能性がゼロとは言えません。
規制対象になるとどうなるの?
仮にクサガメが将来「特定外来生物」に指定された場合、以下のような制限がかかる可能性があります。
- 飼育の継続には届け出が必要になる
- 新たに飼育を始めることは不可
- 譲渡や販売は禁止
- 放流は当然NG(罰則あり)
アカミミガメも現在既に放流は禁止されていますので飼っている方は最期まで見届ける必要があります。
クサガメも同じ流れになる可能性は高いため、「今のうちに飼い始めればいい」と安易に考えるのは危険です。
🐢クサガメを飼育するうえで注意すべきポイント
クサガメは2025年現在、飼育が禁止されているわけではありませんが、「外来種である」「将来的に規制の可能性がある」という前提をふまえて、安易な飼育や繁殖は避けるべきです。
ここでは、クサガメを飼うにあたっての基本的な注意点を解説します。
1. 最期まで責任をもって飼育する
クサガメの寿命は20年以上にもなる長寿のカメです。
飼い始めるなら、旅行や引っ越し、将来的な体調の変化なども見据えて「本当に飼い続けられるか?」をしっかり考える必要があります。
「飽きたら逃がす」は絶対にNGです。
2. 繁殖を狙わない
オス・メスを同居させると、環境によっては繁殖してしまうこともあります。
クサガメが外来種であることを考えると、むやみに数を増やすこと自体がリスクとなる可能性もあります。
繁殖の予定がない場合は、同居させない配慮も大切です。
3. 逃がさない・脱走させない
外来種問題の多くは、「飼育されていた個体が逃げた」「無責任に放流された」ことが原因です。
クサガメは水場だけでなく、陸上でも活発に動けるため脱走のリスクが高い動物です。
フタのある水槽や、屋外飼育なら囲いの設置が必須です。
4. 万が一手放すならどうする?
どうしても飼えなくなった場合、「野外に逃がす」以外の選択肢を探してください。
友人や知人に個別に譲ることは法律上可能ですが、無差別にSNSで募集をかけるような頒布行為はトラブルのもとです。
自治体の相談窓口や、爬虫類の保護団体などに問い合わせるのも一つの手段です。
❓Q&A:放流はNGだけど、絞めるのはOK?
Q. クサガメを野外に放すのはダメって聞きました。でも、自宅で処分するのはOKなんですか?
A. はい、次のように考えてください:
- 法律(国レベル)では、クサガメの放流は禁止されていません。
- ただし、多くの自治体では、条例によって放流が禁止されています。
- そして、自宅での殺処分については、原則として法的な制限はありません(ただし倫理的配慮が必要です)。
✅ 放流についての整理
項目 | 内容 |
---|---|
国の法律(外来生物法) | クサガメは(現時点では)特定外来生物ではないため、法律上の放流禁止はない |
地方自治体の条例 | 多くの自治体では条例により放流禁止(例:滋賀県、京都府など) |
実際の扱い | 放さないのが望ましく、原則NGと考えるのが妥当 |
✅ 絞めて処分することについて
- クサガメのような爬虫類は、動物愛護法の対象であり、「みだりな殺傷」や「不必要な苦痛を与える処分」はNGです。
- しかし、苦痛を与えずに処分する行為(例:安楽死・冷凍・獣医での対応)は違法ではありません。
- また、死体の廃棄方法は地域によって異なるため、自治体の廃棄ルールに従う必要があります。
✅ 結論まとめ
行為 | 法律の扱い | 備考 |
---|---|---|
放流 | ❌(※自治体によって条例で禁止) | 法律上はOKでも、現実的にはNGが主流 |
自宅での処分 | ✅(違法ではない) | ただし人道的な方法で。苦痛を与えるのはNG |
🐢まとめ|クサガメの飼育は禁止ではないが、慎重に向き合うべき存在
この記事では、「クサガメは飼育禁止なのか?」という疑問に対して、最新の情報をもとに解説しました。
2025年5月時点では、クサガメは特定外来生物には指定されておらず、飼育や譲渡は合法です。
ですが、すでに外来種と認定されつつあり、今後はアカミミガメのように規制の対象になる可能性が十分にあります。
また、クサガメだと思って飼っていたカメが、雑種や別種(特にアカミミガメ)だった場合、知らずに法律違反となるおそれもあります。
まずは見分け方をしっかり確認することが第一歩です。
飼育自体が問題なのではなく、「どう飼うか」が問われている時代です。
クサガメとともに生きるには、正確な知識と、最後まで責任をもって飼いきる覚悟が必要です。