ブルーイグアナはその美しい青い体色から人気を集める希少なイグアナですが、見た目のインパクトとは裏腹に、実はとても繊細な食性を持つトカゲです。
草食性であるブルーイグアナにとって、どんな餌を与えるかは健康維持の鍵とも言える重要なポイント。
「果物をあげてもいいの?」「毎日餌を与えるべき?」
──そんな疑問を持つ方に向けて、この記事ではブルーイグアナに適した餌の種類や与え方、注意点を詳しく解説していきます。
ブルーイグアナは草食性?基本の食性を解説
ブルーイグアナは完全な草食性のトカゲで、肉類や昆虫などの動物性タンパクは基本的に必要ありません。
これは、同じイグアナ属であるグリーンイグアナと共通した食性であり、自然下では葉や花、果実などを中心に食べて暮らしています。
また、消化器官も草食に適応しているため、肉類や高タンパクなものを与えると消化不良や内臓疾患のリスクが高まるとされています。
ブルーイグアナにとって大切なのは、栄養価の高い葉野菜を中心とした、バランスの取れた植物性の食事です。
ただし、「草食=何でも野菜ならOK」というわけではありません。
後述しますが、与えて良い野菜・ダメな野菜にはしっかりとした基準があります。
ブルーイグアナにおすすめの餌一覧
ブルーイグアナにとって理想的な食事は、葉野菜を中心に構成されたバランスの良い植物性メニューです。
ここでは主食となる葉野菜から、おやつ代わりに与えられる果物、そして避けるべきNG食材までを紹介します。
🥬 主食として与えるべき葉野菜

ブルーイグアナの毎日の食事の中心は、カルシウムや食物繊維が豊富な葉野菜が適しています。
以下は定番のおすすめ野菜です。
チンゲンサイ
生のままで与えてOKです。葉は柔らかくて食べやすいので、ベビーから成体まで安心して使えます。大きめの葉はざく切り、ベビーには細かめに刻んであげると食べやすいです。茎も柔らかいのでそのまま与えて問題ありません。
小松菜
こちらも生で与えて大丈夫です。カルシウムが豊富で、ブルーイグアナの主食として非常に優秀です。成体であればざく切りでもOKですが、ベビーにはやや細かめに刻んだ方が食べやすいです。茎は少し硬めなので、必要に応じて薄切りか、取り除いてもよいでしょう。
ケール
葉は生でもOKですが、硬めで苦味があるため、慣れないうちは細かく刻んで少量ずつ混ぜてあげるのがポイントです。太い茎はかなり硬く、食べ残すことが多いので取り除くか細かく刻むとよいです。
モロヘイヤ
こちらも生でOKですが、独特の粘りがあるため、初めて与えるときは少量からスタートするのがおすすめです。葉は柔らかく、ベビーでも食べやすいです。茎も柔らかいので特にカットの必要はありませんが、長い場合はちぎって与えてもよいでしょう。
タンポポの葉
自然下にあるものを与える場合は必ず無農薬で、排気ガスや犬の散歩ルートから離れた場所で採取しましょう。生でOKですが、葉が大きいと食べづらいため、ざく切りして与えるのがおすすめです。細めの茎は問題ありませんが、太い部分は刻むか避けましょう。
カブの葉
こちらも生で問題ありません。栄養価が高く、葉はブルーイグアナの食いつきも良好です。茎が太くて硬い場合は、葉先中心に与えるとよいでしょう。ベビーには全体的に細かく刻んであげると安心です。
これらの野菜は、カルシウム:リンのバランスが良く、成長期の骨の形成にも役立ちます。
特に小松菜やケールは日本でも入手しやすく扱いやすい野菜です。
🥕 副菜やバリエーションになる野菜類

主食に飽きさせないためにも、副菜として以下のような野菜を混ぜると良いでしょう。
ニンジン
βカロテンが豊富で、彩りもよく食欲を刺激します。ただし硬いため、必ず細かく刻んで与えることが重要です。ベビーにはすりおろしに近いレベルまで刻むと安全です。甘みがあるので、食いつきの良い個体も多いですが、与えすぎには注意してください。
ズッキーニ
柔らかくて水分が多く、生のまま与えてOKです。皮も食べられますが、気になる場合はむいて与えてもOK。くせが少なく、サラダ感覚で他の野菜と混ぜるとバランスがとれます。ベビーには薄くスライスか細切りがベターです。
カボチャ(加熱して柔らかく)
カボチャは栄養豊富ですが、生だと硬すぎて食べづらいため、加熱して柔らかくしてから与えるのが基本です。茹でる・蒸すなどで加熱したあと、冷ましてから与えてください。糖分が高めなのでご褒美感覚で少量を週1〜2回程度が目安です。
パプリカ(少量)
パプリカは色が鮮やかで見た目に楽しい野菜ですが、消化に負担がかかることもあるため、少量だけ与えるのが基本です。赤・黄・オレンジなど色によって甘さや好みに差が出ます。薄くスライスして他の野菜に混ぜる程度がおすすめです。
これらはカラフルで視覚的にも刺激があり、食欲を引き出す効果も期待できます。
ただし、糖分や炭水化物が多めの野菜は割合を控えめに。
🍎 ご褒美として与えられる果物(頻度・注意点あり)
果物は糖分が高いため、「毎日の主食」ではなく「たまのご褒美」扱いが基本です。
バナナ
ブルーイグアナが好む果物の代表格。柔らかく甘みが強いため、嗜好性は高いが糖分も多いので与えすぎ注意。ごく少量をたまのご褒美として与えるのが基本です。小さくスライスし、葉野菜の上にトッピングする形がおすすめです。
パパイヤ
消化酵素パパインを含み、腸内環境を整える効果も期待できる果物です。ややねっとりした果肉なので、少量を小さくカットして与えます。種や皮は絶対に取り除いてください。熟しすぎたパパイヤは傷みが早いので注意。
イチゴ
ビタミンCが豊富で、香りも強く、ブルーイグアナの食欲を刺激しやすい果物です。水分が多いので与えすぎると下痢の原因になることがあります。1粒を4等分程度にして少しだけ与えるのがベスト。へたは取り除いてください。
ブルーベリー
小さくて扱いやすく、栄養価も高い果物です。アントシアニンなどの抗酸化成分も含まれますが、糖分もあるため与えすぎは禁物です。冷凍品を使用する場合は解凍してから与えましょう。1〜2粒を目安に。
メロン
水分と糖分が非常に多い果物です。与えるなら本当に“ご褒美レベル”で少量のみが鉄則です。柔らかくて食べやすいため、好む個体も多いですが、消化器への負担を避けるためにも週1程度でOK。種と皮は必ず除去してください。
与える量は全体の食事の10%以下を目安に。
与えすぎると肥満や下痢を引き起こす可能性があります。
⚠️ 与えてはいけないNG食材
以下のような食材はブルーイグアナにとって危険です:
- レタス(栄養価がほぼゼロ)
- キャベツ・ほうれん草(シュウ酸が多くカルシウム吸収を妨げる)
- ネギ類・ニラ・玉ねぎ(中毒リスク)
- 果物の皮や種(消化不良の原因)
- 人間の食べ物全般(味付け・加工)
「野菜だから大丈夫だろう」と思ってしまいがちですが、種類によっては健康を損なうリスクがあるため注意が必要です。
ブルーイグアナとグリーンイグアナ、餌の違いはある?

基本的にブルーイグアナとグリーンイグアナはどちらも完全草食性で、与える餌の種類もほぼ同じです。
両者ともに小松菜やチンゲンサイ、ケールなどの葉野菜を主食とし、果物や野菜を副菜・おやつとして与える点に大きな違いはありません。
ただし、実際に飼育してみると、細かな違いや注意点があることにも気づかされます。
すでにグリーンイグアナを飼育していて、次にブルーをお迎えしようと考えている方は、以下の点に留意しておくと安心です。
グリーンイグアナの餌については以下の記事で詳しく解説しています。

体格差による食事量の違い
一般的にはグリーンイグアナの方がやや体が大きく、成体時の食事量も多くなる傾向があります。
ブルーイグアナはグリーンに比べてややスリムな体型の個体が多く、同じ量を与えると過剰摂取になることもあるため、個体ごとに量の調整が必要です。
性格や食欲に個体差が出やすい
グリーンイグアナは比較的食欲旺盛で、さまざまな野菜に挑戦しやすい個体が多い一方、ブルーイグアナは慎重で偏食しやすい傾向があるという声もあります。
特定の野菜しか食べたがらなかったり、果物にしか興味を示さない個体も見られるため、観察をもとに根気強く餌のローテーションを組むことが大切です。
栄養補助や飼育環境の影響を受けやすい
ブルーイグアナはグリーンに比べて流通量が少なく、ブリード元の環境によって体質にばらつきが出やすい面もあります。
そのため、カルシウムやビタミン類の吸収効率に差が出る個体もあり、栄養補助の調整がよりシビアになることも。
また、過去の飼育歴や餌の好みにクセがある個体も多く、一筋縄ではいかない“ブルーならでは”の対応力が求められる場面もあります。
結論|餌そのものは同じでも、「与え方」の最適化がカギ
グリーンとブルーは餌の種類自体に違いはほとんどありませんが、体格や性格、過去の飼育環境などによって与え方や量に細かい調整が必要になる場合があります。
「グリーンと同じようにすればOK」と安易に考えず、ブルーイグアナ1匹1匹の個性に合わせた食事管理を心がけることが大切です。
ブルーイグアナのベビーと大人で餌は違う?年齢別の与え方

ブルーイグアナは成長段階によって必要な餌の内容や与え方に違いがあります。
ベビー期には消化器官が未発達であったり、成長に必要な栄養が多く求められる一方、成体や老齢期(シニア期)になると、食事量や食材の選び方にも配慮が必要です。
ここでは、年齢ごとの餌のポイントを紹介します。
🐣 ベビー期に適した餌の大きさ・柔らかさ
ブルーイグアナのベビーは体が小さく、あごの力も弱いため、柔らかく細かく刻んだ葉野菜を中心に与える必要があります。
特に重要なのは、以下の点:
- 葉野菜はなるべく細かく刻んで与える(飲み込みやすくするため)
- 水分の多すぎる野菜(例:レタス)は避け、栄養価の高いものを選ぶ
- 成長に必要なカルシウムとビタミンD3をサプリメントで補助することも検討
ベビー期は食欲が安定せず、食べムラが出やすい時期でもあるため、複数の野菜をローテーションで試すのがおすすめです。
🦎 成体になるにつれての変化
成長とともに消化機能が安定し、幅広い野菜をしっかり噛んで食べられるようになります。この時期には餌のバリエーションを増やしながら、以下の点に注意すると良いでしょう。
- 葉野菜を中心にしつつ、色の濃い野菜や副菜も適度に取り入れる
- 果物は週に1〜2回の頻度で「ご褒美扱い」にする
- 食べ残しを放置しない(傷んだ餌で消化不良になるリスクあり)
特に成体になると食事の影響が健康や体格に直結するため、肥満防止や栄養バランスの管理が重要になります。
🧓 シニア期の食事の注意点
ブルーイグアナは適切に飼育すれば長寿なトカゲであり、10年以上生きる個体も珍しくありません。老齢期に入ると、代謝が落ちて食欲が低下することもあるため、餌の内容や量に配慮が必要です。
- 固い野菜は細かく刻んだり、軽く茹でて柔らかくする
- 高糖質な果物は控えめにし、消化に優しい野菜を中心に
- 食欲が落ちてきた場合は、好物や彩りのある野菜で食欲を刺激する工夫も有効
また、内臓機能が弱ってくるシニア期では栄養の過不足が体調に大きく影響するため、観察と調整がこれまで以上に大切になります。
ブルーイグアナに餌を与える頻度と1回の量の目安

ブルーイグアナの餌やりで悩みやすいのが、「どのくらいの頻度で、どれくらいの量を与えるべきか」という点です。
食べ過ぎも、与えなさすぎも健康に悪影響を及ぼすため、適切な量とスケジュールの管理が重要です。
⏰ 毎日与える?空腹にさせた方がいい?
ブルーイグアナには基本的に毎日餌を与えるのが理想です。
特にベビー期は成長スピードが早いため、1日1回〜2回の給餌が推奨されます。
成体以降は個体差もありますが、毎日または1日おきに与えるのが一般的です。
食欲が安定している個体なら、週に1〜2日は「絶食日」を設けることで胃腸を休ませる効果もあります。
🥗 残した餌の処理と注意点
食べ残しの餌を放置すると、以下のような問題が起きる可能性があります:
- カビが生えて病気の原因になる
- 虫が湧くなど衛生状態が悪化する
- 餌が傷んで次の給餌時に食欲が落ちる
そのため、給餌後は30〜60分を目安に残り物を取り除くのが理想的です。特に果物や水分の多い野菜は腐敗が早いため注意が必要です。
⚖️ 与えすぎによる肥満や栄養過多のリスク
ブルーイグアナは草食性で消化に時間がかかるため、与えすぎると消化不良を起こしやすくなります。
さらに果物や糖質の高い野菜を頻繁に与えると、肥満や内臓脂肪が増えて健康を損ねることも。
「食べるからもっと与えていいだろう」と考えるのではなく、適量を見極め、必要に応じてサプリメントで補う形がベストです。
餌以外に必要な栄養管理(サプリメント等)
ブルーイグアナは草食性であるがゆえに、自然界と比べるとどうしても栄養が偏りがちになります。
特に室内飼育では紫外線の不足やカルシウム不足が起きやすいため、サプリメントによる栄養補助が非常に重要です。
💊 カルシウムパウダーは必要?
ブルーイグアナには、カルシウムを定期的に補うことが必須です。
葉野菜にもカルシウムは含まれていますが、食材の種類や食べる量によって摂取量が不足することが多く、骨の成長不良(くる病)や関節異常などを引き起こすリスクがあります。
そのため、餌にカルシウムパウダーをふりかけて与える方法が一般的です。
特にベビー期や産卵を控えたメスなど、カルシウム需要が高い時期には毎回の給餌で使うこともあります。
☀️ 紫外線ライトとの関係とビタミンD3
カルシウムの吸収にはビタミンD3が必要ですが、ブルーイグアナは紫外線(UVB)を浴びることで体内でビタミンD3を合成します。
しかし、室内飼育では自然な日光が不足しがちなため、UVBライトの設置が必須となります。
UVBが不足している環境では、D3入りのカルシウムサプリメントを使用するのが有効ですが、紫外線ライトと併用する場合はD3の過剰摂取に注意が必要です。
🧃 マルチビタミンは定期的に与えるべきか
基本的な栄養は餌から摂取するのが理想ですが、長期間の偏食やストレス、病後などにはマルチビタミンの使用も有効です。
ただし、常用するとビタミンAやDの過剰摂取のリスクがあるため、週1回程度の頻度で十分とされています。
使用前には内容成分をしっかり確認し、与えすぎないように注意しましょう。
餌やりを快適にするための工夫とポイント

ブルーイグアナにとって健康的な食生活を送らせるためには、餌そのものだけでなく、与え方や環境にも一工夫加えることが重要です。
ここでは、実際の飼育現場で役立つ細かな工夫や便利なアイテムをご紹介します。
給餌容器の選び方
床に直接野菜を置くスタイルでも問題はありませんが、清潔さや誤飲防止の面からは専用の餌皿を使うのがおすすめです。
- ステンレスや陶器製の浅い皿がベスト(軽くて洗いやすい)
- プラスチック製は傷がつきやすく、雑菌が繁殖しやすいため避けたい
- ベビー用には浅め・小さめの皿、成体にはやや広めの皿が扱いやすい
給餌のタイミングと注意点
- 朝〜午前中のうちに与えるのが理想的です。活動前に食事を済ませることで、紫外線ライトの照射時間中にしっかり消化を促すことができます。
- 夜に餌を与えると、体が冷えた状態で消化不良を起こすリスクがあるため避けましょう。
- 紫外線(UVB)と食事の関係にも注意し、給餌後も紫外線を浴びられるようにしておくのがポイントです。
偏食や食べムラの対策
個体によっては「緑の野菜しか食べない」「甘い果物しか口にしない」といった偏食傾向が見られることもあります。そんな時は以下の工夫が有効です:
- 好物(例:バナナ)を細かく刻んで他の野菜に混ぜる
- 野菜の切り方や温度を変えてみる(ぬるめにする、細長くするなど)
- 一時的な絶食日を挟むことで、自然と空腹を誘発することも
偏食は放置すると栄養が偏りがちになるため、無理せず少しずつ慣れさせる工夫が大切です。
🟦 まとめ|ブルーイグアナの餌は「種類・量・頻度」のバランスが重要
ブルーイグアナはその見た目の美しさとは裏腹に、非常に繊細な食性を持つ草食トカゲです。
飼育においては、単に「野菜を与えればいい」ではなく、適切な種類・量・与える頻度を理解し、年齢や健康状態に合わせて調整することが求められます。
特に以下の点を意識すると、ブルーイグアナの健康維持に大きく役立ちます:
- 主食は栄養価の高い葉野菜を中心に
- 果物はご褒美程度に控えめに
- ベビーやシニアは食べやすさ・消化しやすさに配慮
- カルシウム・紫外線・サプリメントの補助も忘れずに
- 与えすぎに注意し、残した餌はこまめに処理
ブルーイグアナは長寿で人懐っこい個体も多く、適切な餌やりと環境管理を続けることで、10年以上の付き合いも夢ではありません。
日々の観察とちょっとした工夫で、より快適で健康的な生活をサポートしてあげましょう。