コースタルカーペットパイソンは、オーストラリア東海岸に広く分布する地域個体群で、カーペットパイソンの中でもとくに大型化しやすいタイプとして知られています。
野性味のある見た目と飼育しやすい性格から、日本の愛好家の間でもじわじわと人気が高まっています。
この記事では、コースタルカーペットパイソンの特徴や性格、他の個体群との違いについて詳しく解説します。
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カーペットパイソンの飼育関連
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ロカリティ
コースタルカーペットパイソンとは?基本情報と原産地

コースタルカーペットパイソン(英名:Coastal Carpet Python)は、カーペットパイソン(学名:Morelia spilota)の地域個体群(ローカリティ)のひとつで、かつてはMorelia spilota mcdowelliという亜種名でも知られていました。
主にオーストラリア東部のクイーンズランド州からニューサウスウェールズ州にかけて分布しており、沿岸部に生息することから「コースタル(=沿岸)」の名がついています。
体は全体的に長く、大型化しやすい点が特徴で、色合いは黒~茶色を基調に、黄色やクリーム色のバンド模様が入り、野性的で迫力のある見た目をしています。
ガレージにでっかいコースタルカーペットパイソンが居た。
— Manami.N (@Maple325Manami) December 7, 2024
マフィアのボスみたいな顔してた。 pic.twitter.com/vdkNmzd9cK
同じカーペットパイソンの中でも、コモンタイプ(ノーザン)やイリアンジャヤなどと比べると体格がしっかりしており、見た目にも「迫力重視」のタイプと言えるでしょう。
ペットとしての人気も高まりつつあり、日本国内でも輸入個体や繁殖個体が販売されています。
性格と飼育しやすさの特徴
コースタルカーペットパイソンは、その野性的な見た目とは裏腹に、比較的温和で飼育しやすい性格を持つ個体が多いとされています。
もちろんヘビの性格には個体差があり、特に野生採集個体(WC)には警戒心が強く攻撃的なタイプも見られますが、現在日本国内で流通している多くは繁殖個体(CB)であり、人の手にもよく慣れています。
成長するとかなりの大きさになりますが、大型個体でも落ち着いた性格でハンドリングに応じてくれる場合が多く、見た目の迫力と扱いやすさを兼ね備えた種類です。
飼育下で人に噛みつくような攻撃的な動作を見せることは少なく、初心者にも扱いやすいパイソンのひとつと言ってよいでしょう。
ただし、幼体のうちは臆病で防衛本能が強く、少しの刺激で噛みつこうとすることがあります。
こうした反応は成長とともに落ち着くケースが多いため、最初は無理に触らず、焦らず距離を縮めていくのがコツです。
最大でどれくらいの大きさになる?

コースタルカーペットパイソンは、カーペットパイソンの地域個体群の中でも最大級の体長を誇るタイプです。
一般的な成体の全長は1.8〜2.4メートル程度ですが、環境や個体差によってはさらに大きくなることもあり、過去には最大で4.3メートルに達したという記録も存在します。
他のローカリティと比べても、サイズ感の違いは明らかです。
たとえば、イリアンジャヤやダーウィンカーペットパイソンは平均1.5m前後にとどまることが多く、コースタルの方が明らかに大型。
とくに「コモンカーペットパイソン」として流通するタイプと比較しても、体の厚みや全長において明確な差があります。
なお、飼育下ではケージサイズや餌の量、成長期の管理方法によっても体格に差が出ます。
広めのケージでじっくり育てれば、それだけ大きく育つ余地もあり、「大きく育てたい!」という飼育者にも人気のあるローカリティです。
アザンティック(アザン)個体も存在する?
コースタルカーペットパイソンには、アザンティック(Axanthic)と呼ばれる色素変異個体も存在します。
アザンとは黄色の色素が欠損しており、通常の茶系・黄系の体色とは異なり、白黒〜グレー調のシックな色合いになるのが特徴です。
こんにちは!
— REPTILES TOKYO名古屋店 (@reptilestokyo_n) June 4, 2021
デンドロパーク名古屋店です!
本日もオープンいたしました☀️🙋❗
お写真の子はコースタルカーペットパイソンのアザン🏳️
飼いこみ個体がやって来ました!
ドでかいです👀‼️
手が小さく見えますね!
平日の今日は19時まで営業しております🙌 pic.twitter.com/oUQYydZqhF
このモルフは自然下では非常にまれですが、人工繁殖によって固定化された血統が存在しており、ブリーダーによっては国内でも販売されています。
流通数はそこまで多くはないものの、アザン特有のクールな見た目に惹かれる飼育者も多く、通常個体に比べて価格は高めに設定される傾向があります。
ただし、こうしたモルフ個体はやや神経質な一面を持つこともあるため、性格や体質は親個体の特徴をよく確認したうえで購入するのがベターです。
🔍アザンとアルビノの違い
アザン(アザンティック)とアルビノは、どちらも色素が欠けることで生じるモルフですが、欠けている色素の種類が異なります。
- アザン:黄色系の色素が欠損 → 白黒〜グレーのクールな見た目に
- アルビノ:黒系の色素が欠損 → 明るい黄色やピンク系の体色に(※赤い目になるのも特徴)
例としてよく知られる「真っ白なウサギ(赤い目)」はアルビノ個体です。
ヘビの場合も同様に、アルビノは目が赤くなり、アザンは暗色系でシックな雰囲気になります。
ちなみに、この2つを掛け合わせた「スノー」というモルフも存在し、非常に淡い白系カラーが魅力です。
項目 | アザンティック(Axanthic) | アルビノ(Albino) |
---|---|---|
欠損している色素 | 黄色系の色素(キサントフォア) | 黒色系の色素(メラニン) |
見た目 | 黒・白・グレー系(寒色系でクールな印象) | 黄色〜オレンジ・ピンク系(暖色で明るい印象) |
遺伝形式 | 劣性遺伝 | 劣性遺伝 |
自然界での出現 | 極めてまれ(野生では不利になる) | 同様にまれ(捕食対象になりやすい) |
コースタルカーペットパイソンの飼育のポイントと注意点

コースタルカーペットパイソンの飼育は、基本的に他のカーペットパイソンと同様で、それほど特殊な設備を必要としません。
ただし、大型化しやすいローカリティであることを念頭に、ケージのサイズやメンテナンス性には十分な配慮が必要です。
この前お迎えした、「ピュア」コースタルカーペットパイソンのまりんちゃん!ベタ慣れなので運動がてら、適度に戯れます!
— Toshiki (@kurombo_gantz) May 4, 2025
目指せ4m超え!!!がんばろー!!!まりんちゃん!!!
(派手な部屋干しパンツが写りますが、気にしないでください。) pic.twitter.com/3iIq0TZIAK
ケージ
ケージサイズの目安としては、ベビー期は60cmクラスのプラケースでも対応できますが、成長に応じて90cm、120cm、最終的には150cm以上のケージが理想的です。
特に床面積と高さの両方が確保されていると、パイソン本来の動きを妨げずに健康的に育てられます。
温度管理
温度管理は昼間で28〜30℃、夜間で25℃前後を維持するのが目安。寒暖差がありすぎると拒食や体調不良の原因になるため、冬場は保温球やパネルヒーターなどで温度を安定させましょう。
湿度は中程度(50〜60%)をキープし、床材は新聞紙・ペットシーツ・ヤシガラなど吸湿性の高いものが扱いやすくおすすめです。
餌
餌は冷凍マウスが基本で、成長段階に合わせてピンクマウス→ホッパー→アダルトへとサイズアップします。
餌付きは良い方ですが、環境変化に敏感で一時的に食欲が落ちることもあるため、落ち着いた環境を維持することが何より重要です。
また、ハンドリングも可能な種類ですが、脱皮前や給餌直後はストレスを与えないよう配慮しましょう。
幼体のうちは臆病な反応を示すこともあるため、無理に触れず、ゆっくり距離を縮めていくことが信頼関係づくりのコツです。
コースタルカーペットパイソンの販売価格と入手先について

コースタルカーペットパイソンは、日本国内でも比較的よく流通しているローカリティのひとつで、価格帯は個体の大きさやモルフの有無によって大きく変動します。
もっとも一般的なノーマルタイプのベビーであれば、15,000円〜25,000円程度が相場となっており、ヤングサイズやアダルトになると3万円を超えることもあります。
さらにアザンティックなどのモルフ個体になると、5万円以上、場合によっては10万円超の値が付くこともあり、希少性と見た目の美しさが価格に反映されています。
入手方法としては、以下のようなルートがあります。
- 爬虫類イベント(レプタイルズショーなど):出展数が多く、状態の良い個体が見つかりやすい。
- 爬虫類専門ショップ:購入後のフォローや相談対応を重視するなら◎。
- 個人ブリーダー(SNSや直販サイト):血統や餌付きなどを詳しく聞けるメリットあり。
いずれの方法でも共通して言えるのは、購入前に「餌付きの有無」「性格(攻撃性)」「成長度合い」などを確認することが大切だということです。
とくに初心者の方は、飼育サポートが得られるショップやブリーダーから購入するのが安心でしょう。
まとめ|コースタルはカーペットパイソン入門にもおすすめ!
コースタルカーペットパイソンは、カーペットパイソンの中でも特に大型で迫力ある見た目が魅力的なローカリティです。
その一方で、性格は比較的温和で飼育しやすく、初心者にも十分扱える種類として人気を集めています。
基本的な飼育設備や管理方法は他のパイソンと同様でありながら、成長に伴って個体の美しさと存在感が増していくのも楽しみのひとつ。
さらに、アザンティックなどのモルフ個体も存在し、こだわりたい飼育者にも対応できる奥深さがあります。
「パイソンに興味があるけど何から始めればいいかわからない」という方にも、コースタルは選択肢の一つとしておすすめできるローカリティです。
見た目の迫力と飼育のしやすさ、その両方をバランスよく楽しめる1匹として、ぜひチェックしてみてください。
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