フトアゴヒゲトカゲの多頭飼いはできる?共食いや尾切れリスクと安全な飼い方を解説

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フトアゴヒゲトカゲをお迎えしようとショップを訪れると、ベビーたちが仲良く一つのケージで過ごしている姿を目にすることがあります。

個性的でかわいい姿を見て、「どうせなら2匹一緒に飼おうかな」と思う方もいるかもしれません。

しかし、フトアゴヒゲトカゲの多頭飼いは基本的におすすめできません

外見は穏やかで争いとは無縁に見えますが、実際には力関係やストレス、共食いに近い事故など、複数飼育にはリスクが多く潜んでいます。

とはいえ、正しい知識と環境があれば多頭飼育は可能な場合もあります。

この記事では、フトアゴヒゲトカゲの多頭飼いに潜むリスクを整理したうえで、「やるならこうすべき」という具体的な飼育ポイントも詳しく解説します。

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目次

フトアゴヒゲトカゲの多頭飼いはできる?基本スタンスを解説

フトアゴヒゲトカゲは温和で人懐っこい性格から「飼いやすい爬虫類」として人気がありますが、多頭飼いに関しては慎重な判断が必要です。

まず大前提として、フトアゴヒゲトカゲの多頭飼いは「できることはある」が「おすすめはできない」というのが飼育の現場での共通認識です。

特に初心者の場合、複数飼育によって個体ごとの体調管理が難しくなり、気付かないうちに一方が弱っていた……ということも珍しくありません。

また、爬虫類は基本的に単独生活を好む生き物です。

哺乳類のように「仲間といると安心する」という性質はありません。

同じ空間で過ごすこと自体がストレスになることもあるため、多頭飼いはリスクと隣り合わせの飼育法であることを理解しておくべきでしょう。


ショップでは多頭飼いに見えるが、あれは特例

ペットショップや爬虫類イベントでは、ベビーのフトアゴヒゲトカゲが何匹も一緒のケージに入れられている光景をよく目にします。

これを見て「意外といけるのでは?」と思う方もいるかもしれません。

しかしこれはあくまで短期間の展示・販売を目的とした管理であり、飼育の最適解ではありません。

販売店ではスタッフが毎日体調チェックや給餌管理を行い、問題が起こればすぐに個体を隔離する体制が整っています。

しかも、スペースの都合上どうしても一時的に同居させているだけで、健康維持のための措置とは異なるのです。

家庭で同じような管理体制を取ることはまず不可能です。

したがって、ショップの展示方法をそのまま家庭に持ち込むのは非常に危険です。


フトアゴヒゲトカゲの多頭飼いで起こる4つの主なリスク

フトアゴヒゲトカゲの多頭飼いは見た目以上に難しく、実際に飼ってみると予想外のトラブルが発生します。

ここでは、特に注意したい3つのリスクを紹介します。


力関係によるストレスと餌の奪い合い

フトアゴヒゲトカゲは基本的に温和な性格ですが、それは「争わない」だけで「上下関係がない」という意味ではありません。

複数で飼育していると、自然と優位な個体と劣位な個体が生まれます。

強い個体は餌の前に素早く出てきて独占し、日光浴スポットを陣取ります。

一方で、弱い個体は遠慮して餌を満足に食べられず、日光浴すらできないまま隅っこでじっとしていることもあります。

参考ツイート

これが続くと、見た目にはケンカしていなくても徐々に体調を崩し、やせ細っていくケースが後を絶ちません。

しかもこの問題は、2匹だけで飼うとより顕著に現れる傾向があります。

ショップで10匹以上まとめて展示されている場合は、力関係が分散するため一見うまくいっているように見えますが、家庭内で2匹のみを同居させると、強弱がはっきりしてしまい、片方だけが苦しむ状況になりやすいのです。


間違って手足を咬む「事故的共食い」

本来、フトアゴヒゲトカゲは同種を捕食する「共食い」をする動物ではありません。

しかし、意図せずに起こる事故としての共食いには注意が必要です。

特にベビー期のフトアゴは食欲が旺盛で、動くものを見ると反射的に飛びついてしまいます。

このとき、近くにいた別の個体の手足や尾を餌と間違えて咬んでしまうことがあります。

フトアゴのアゴは想像以上に強力で、一度咬まれたら骨ごと噛み切られてしまうことも。

実際、ショップで足のない個体が安価で販売されているのを見かけることがありますが、その多くは多頭飼育中の事故による欠損です。

手足が1本なくても生きていくことはできますが、動きや登り行動に支障が出ますし、なにより精神的なダメージが大きいです。

欠損をきっかけに、さらにグループ内で弱者となってしまい、体調を崩すという悪循環に陥ることもあります。


相性や性格の違いによるケンカや不調

フトアゴヒゲトカゲは個体によって性格が大きく異なります。

活発で好奇心旺盛な個体もいれば、臆病でマイペースな子もいます。

こうした性格差が同居によってぶつかり合うと、思わぬストレスや小競り合いにつながることがあります。

また、成熟したオス同士は本格的に争うこともあります。

縄張り意識が強くなり、お互いに威嚇し合い、場合によっては流血を伴う本格的なケンカに発展します。

さらに「オスとメスでペア飼いなら安全」というわけでもありません。

繁殖期以外のオスはメスに対してしつこく追いかけることがあり、メスが常にストレスにさらされて体調を崩してしまうことも。相性が悪い場合は即座にケージを分ける覚悟が必要です。


尾を咬まれて「尾切れ」になる事故も

フトアゴヒゲトカゲの尾はよく動くうえに細長いため、他の個体に餌と間違えられて咬まれる事故が起きやすい部位です。

特にベビー期は食欲が旺盛で、動くものにすぐ反応してしまいます。

咬まれた尾が傷つくだけで済めばまだ良いのですが、ひどい場合には根元から切れてしまうこともあります。


フトアゴは自切はしない

ただよく誤解されるのですが、他のトカゲの種類でよくある「尾を自ら切って逃げる(自切)ことがあるのでは?」と思われがちですが、フトアゴヒゲトカゲには自切能力はほとんどありません

多くは外的な力による損傷で尾がちぎれてしまう、事故としての尾切れなのです。

尾がちぎれても生命に関わることは少ないものの、見た目や動作に影響を与える損傷であることに違いありません。

多頭飼育の現場では、こうした事故にも十分注意が必要です。


それでも多頭飼いしたい人へ|必要な条件と注意点

フトアゴヒゲトカゲの多頭飼いには多くのリスクがありますが、それでも「どうしても複数飼育したい」「経験を積んできたので挑戦してみたい」という方もいるでしょう。

ここでは、多頭飼いに挑戦する場合に最低限守るべき環境条件と注意点を解説します。


ケージサイズとレイアウトの工夫が必須

まず最重要なのが十分な広さのケージです。

60cmや90cmのケージでは複数飼育はほぼ不可能と考えてください。

最低でも120cm以上の広さを確保し、それぞれの個体が独立して生活できる空間を用意することが必須です。

また、ケージ内にはシェルター・バスキングスポット・餌場などをすべて2つ以上用意する必要があります。

1つしかないと、強い個体が独占し、弱い個体にストレスがかかってしまいます。

レイアウトも工夫し、視界が完全に抜けないように仕切りや隠れ家を設けることで、個体同士が常に顔を合わせないようにする配慮も大切です。


同居可能な組み合わせ(幼体・メス同士など)

もし多頭飼いを試みる場合、オス同士は絶対に避けるべきです。

縄張り争いや威嚇、流血沙汰になることもあります。

比較的リスクが低いのは、

  • ベビー同士(ただし事故が起きやすいため目を離さない)
  • メス同士(性格次第では可能)
  • ペア飼育(繁殖目的の場合)

といった組み合わせです。

ただし、どのパターンであっても「相性が合えばたまたま上手くいく」だけであって、保証された安全な組み合わせは存在しません。

多頭飼育は常に観察と管理が必要な、上級者向けの飼育方法です。


給餌・日光浴・シェルターの「奪い合い」を防ぐ工夫

与える餌は個体ごとに分けて与えるのが基本です。

ピンセット給餌やケージ内で位置を離して置くなどして、弱い個体も十分に食べられるよう配慮しましょう。

また、バスキングライトの下は人気のスポット。

1つでは取り合いになりますので、2灯以上の照明と複数のホットスポットを設けることが必要です。

シェルターや休憩場所も、「同じ物を2つ」ではなく、「個体が好むような多様な環境を複数」設けるのが理想です。

隠れ家・登り場所・温度勾配の工夫も忘れずに。


それぞれの個体の様子を見極める観察力

多頭飼い最大の条件は、「観察眼」です。

餌を食べているか、排泄があるか、活発に動いているか、少しの変化にすぐ気づけるかどうかがすべて。

「最近ちょっと元気がないけど様子見で…」はNG。多頭飼育では1日で急激に体調が崩れることもあるため、早期対応が求められます。

毎日様子を見て、「少しでも異変があれば即隔離できる体制」が整っていない場合、多頭飼いはリスクしかありません。


フトアゴヒゲトカゲを繁殖目的での多頭飼いはどうすべきか?

「繁殖を目指したいからペアで飼いたい」というケースも多く見られますが、実はこの場合でも常時ペア飼いするのは適切ではありません。

繁殖目的であっても、基本的には普段は別々に飼育するのが原則です。


繁殖期以外は分けて飼育すべき理由

フトアゴヒゲトカゲのオスは繁殖期になると性欲が高まり、メスにしつこくアプローチするようになります。

これがペア飼育ではメスにとって大きなストレスとなり、食欲低下や拒食、最悪の場合は体調不良に繋がります。

また、繁殖期以外にペアを同居させていると、オスの発情行動が鈍くなるケースもあります。

つまり、常に一緒にいることで「繁殖スイッチが入らなくなる」可能性もあるのです。

そのため、繁殖はあくまで「一時的な同居」で行い、それ以外の期間は別々のケージで健康管理をするのが最も効率的で安全な方法です。


ペア育成でも成熟スピードに差が出る現実

フトアゴヒゲトカゲはオスとメスで成熟時期が異なります。

一般的に、オスは8~12ヶ月程度で発情期に入る一方、メスは1年半~2年程度かかることが多いです。

そのため、ベビーのうちから「ペア」として2匹一緒に飼育しても、成長スピードや体の大きさに差が出て、メスが未成熟なうちにオスが交尾を迫るといった危険な状況が起こりやすくなります。

未成熟なメスが交尾や産卵をしてしまうと、身体への負担が大きく、命に関わるケースもあります。

こうしたリスクを避けるためにも、繁殖を見越して育てる場合であっても、基本は単独飼育での管理が前提となります。


フトアゴヒゲトカゲの多頭飼いまとめ|一匹ずつの幸せを大事に

フトアゴヒゲトカゲは見た目の穏やかさとは裏腹に、力関係や性格の違い、ストレス、さらには共食いに近い事故など、複数飼育に多くのリスクを抱えています。

ショップでの展示やSNSの一場面だけを見て「多頭飼いできそう」と思ってしまうこともありますが、実際の家庭で安全かつ健康的に多頭飼いを成立させるには、かなり高度な飼育技術と環境整備、そして常に観察を怠らない姿勢が必要です。

「かわいいから2匹欲しい」
「ペアで飼えば仲良くしてくれそう」
そんな気持ちはよく分かります。

ですが、フトアゴヒゲトカゲにとって本当に幸せなのは、安心できる広々とした空間で、他の個体に怯えることなくのんびり暮らすことではないでしょうか。

まずは1匹のフトアゴとしっかり向き合い、その子の個性や行動パターンを知るところから始めましょう。

経験を積んだその先に、必要であれば多頭飼いに挑戦してみる。そのくらいの距離感が、爬虫類飼育にはちょうど良いのです。

\ ついでにこれも読んでいけ。 /
いや、読んでくださいお願いします(土下座)

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