グリーンイグアナは美しい緑色の体と穏やかな性格から、ペットとしても人気の高い大型爬虫類です。
しかし、その大きな体と高い運動能力を持つがゆえに、「脱走」というトラブルが後を絶ちません。
一度逃げ出してしまうと、捕獲は容易ではなく、地域住民の不安や事故の危険を招くケースもあります。
実際に過去には芦屋市でグリーンイグアナが脱走し、大騒動となった事件もありました。
本記事では、グリーンイグアナが脱走する原因やそのリスク、脱走を防ぐための具体的な対策、そして過去の事例から得られる教訓まで詳しく解説します。
これから飼育を始める方も、すでに飼っている方も、ぜひ参考にしてください。

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グリーンイグアナの脱走はなぜ起きる?

ジャンプ力・爪・登攀能力など高い運動能力
グリーンイグアナは見た目のんびりとした印象があるかもしれませんが、実は非常に運動能力の高い動物です。
ジャンプ力に優れ、2〜3段の棚を一気に飛び移ることも珍しくありません。
また、鋭い爪を使って垂直に近い壁や網にも登ることができ、ケージの天井やフェンスの隙間から抜け出す例もあります。
「まさかここを登るとは…」という場所でも軽々とよじ登ることがあるため、飼育者が想定していない経路で脱走することが多いのです。
ストレス・環境不満による逃走行動
イグアナはストレスに弱く、飼育環境が不適切だったり、人との接し方に問題があったりすると、逃げ出そうとする行動を見せることがあります。
例えば、グリーンイグアナにとって温度や湿度が合っていない、狭すぎるケージに閉じ込められている、人間の接触が過度などの場合、外に出ようとする意欲が高まります。
特に発情期には攻撃的になりやすく、落ち着きがなくなることもあり、ケージを壊したり飛び出そうとしたりするケースも見られます。

ケージや放し飼いの管理ミス
最も多い脱走原因の一つが、「人為的な管理ミス」です。
扉の閉め忘れ、鍵の掛け忘れ、庭での日光浴中に目を離した…といった「うっかり」が、脱走につながります。
また、グリーンイグアナの飼育ケージ自体の設計や素材にも注意が必要です。
網の目が大きすぎたり、留め具が緩かったりすると、イグアナの力で押し開けられてしまうことも。
DIYで自作ケージを作った場合は不慣れな素人づくりであるため尚更注意が必要です。

グリーンイグアナを放し飼いにしている場合は、外に通じる窓やドアが脱走経路になることも多く、飼い主の行動一つが大きなリスクになります。

グリーンイグアナが脱走すると何が起きる?

グリーンイグアナが脱走してしまった場合、飼育者本人が不安や心配な気持ちになるのは当然として、実は問題はそれだけでは収まりません。
どのような問題が起きるのかを以下に説明します。
地域社会への影響(不安・騒動・SNS拡散など)
大型爬虫類であるグリーンイグアナが街中に姿を現すと、たとえ無害な個体であっても、一般の人々には大きな不安を与えます。
「緑色の大きなトカゲが庭にいた!」という通報が相次ぎ、SNSでの目撃情報が一気に拡散されることも少なくありません。
子どもが驚いて泣いてしまったり、動物嫌いの住民が不快感を訴えたりと、想像以上に影響は大きく、地域全体が一時的に騒然とするケースもあります。
イグアナ自身が危険に晒されるリスク
脱走して一番リスクを背負うのは、実はイグアナ自身です。
日本の都市部や住宅街では、車にひかれる、外気温の低下で体調を崩す、猫やカラスに襲われる、人間に捕まってしまう――といったさまざまな危険が待ち受けています。
また、迷い込んだ先で間違って駆除されるリスクも否定できません。
野生動物や有害生物と誤認されてしまう可能性もあり、命にかかわる深刻な事態に発展することもあります。
法的・道義的な飼育者責任
万が一、脱走したグリーンイグアナが人や他のペットを傷つけた場合、飼い主には法的責任が問われる可能性があります。
たとえ直接的な被害がなかったとしても、「脱走させた」という事実だけで、飼い主に対する非難の声が上がりやすく、近隣との関係悪化や、爬虫類飼育者全体への風当たりが強くなることもあります。
ペットを飼ううえで、脱走は「予期せぬ事故」では済まされません。
適切な管理を行うことは、飼い主の当然の義務であると認識する必要があります。
実際に起きた脱走事件【芦屋市の事例】

脱走の経緯と発見までの道のり
2023年、兵庫県芦屋市の住宅街で、庭で飼育されていたグリーンイグアナが脱走する事件が起きました。
きっかけは、飼い主が庭のフェンスを修理していた際、目を離したわずかな隙を突いて、イグアナが逃げ出したことでした。
逃げ出した個体は素早く木に登って姿を隠し、飼い主がすぐに追いかけたものの発見できず、そのまま周辺の住宅街に移動してしまいます。
SNSでは「木の上に緑のトカゲがいる」「庭で爬虫類を見た」といった目撃情報が拡散され、一時はプチパニック状態となりました。
その後、飼い主がチラシの配布やSNSでの呼びかけ、果物を使った誘引、夜間のライト探索など、さまざまな方法を駆使して捜索を続け、数日後に無事保護されました。
地域住民との連携と対応
この騒動のなかで注目されたのが、地域住民の協力体制です。
SNSでの呼びかけを見た住民たちが、自発的に捜索に加わったほか、以前爬虫類を飼っていた経験がある人からは専門的なアドバイスも寄せられました。
中には、双眼鏡を使って木の上を探す人や、犬の嗅覚を活かして草むらをチェックする人も現れ、まるで地域ぐるみの“ペット捜索隊”のような様相を呈していました。
このような人々の協力があったからこそ、イグアナは無事に見つかり、事件は円満に解決へと向かったのです。
この事件から得られる教訓とは?
芦屋市の事例は、単なる脱走騒動にとどまらず、「飼育者の責任」「脱走防止の重要性」「地域との信頼関係」という3つの教訓を私たちに残しました。
まず、イグアナの行動能力を甘く見ていたことが、脱走の直接的な原因となりました。
また、いざというときに備えて「周囲と連携できる関係性」を築いておくことも、ペット飼育者として非常に大切です。
この事件は、多くの人にとって、爬虫類の飼育がただの趣味ではなく、社会的責任を伴うものであることを認識させる契機となったと言えるでしょう。
グリーンイグアナの脱走を防ぐためにできること

ケージや飼育設備の見直しポイント
グリーンイグアナの脱走を防ぐ第一歩は、物理的な飼育設備の強化です。
市販のケージを使う場合でも、サイズが十分か、扉のロックが確実か、天井や側面に隙間がないかなどを入念に確認しましょう。
とくに注意すべきは「上からの脱走」。
イグアナは垂直移動も得意なため、ケージの天井やフタの固定が甘いと、簡単にこじ開けられてしまいます。
金属製の鍵付きロックや、内側から押しても開かない構造の扉が理想です。
また、ケージが狭すぎるとストレスの原因にもなるため、適切な広さと登れる構造も重要なポイントです。

放し飼いや庭飼育時の注意点
広いスペースで自由に動ける「放し飼い」や、庭での日光浴はイグアナにとって好ましい環境にもなり得ますが、同時に脱走リスクが格段に高まります。
グリーンイグアナの室内放し飼いの場合は、玄関や窓の施錠を徹底すること。網戸程度では力で突破されることもあるため、必ず二重ロックを心がけましょう。
庭で飼う場合は、フェンスや柵の高さだけでなく、登れる素材かどうか、隙間がないかなども要チェックです。
「飛び越える」「よじ登る」「掘る」いずれの可能性も考慮し、360度死角のない管理が求められます。

日頃からの観察と慣れさせ方
日々の観察とスキンシップも、脱走を防ぐ重要なカギです。
イグアナは人になれると落ち着いた行動を取るようになりますが、逆にストレスを感じている個体は逃げ出す傾向が強くなります。

餌やりを通じたコミュニケーションや、穏やかな声かけ・ハンドリングを継続することで、飼い主=安心できる存在と認識してもらうことが大切です。
また、普段から脱走しそうな仕草(暴れる、同じ場所に執着する、天井を見上げるなど)を見逃さず、早期に環境を調整できるようにしておくことも、事故防止につながります。
まとめ|グリーンイグアナの脱走防止は飼育者の義務
グリーンイグアナの脱走は、飼い主にとっても社会にとっても重大な問題です。
その運動能力や行動力を軽視してしまうと、予想以上に簡単に脱走されてしまうこともあります。
実際に起きた芦屋市の事例からも分かるように、一度逃げ出すと発見や保護は困難で、地域に不安や混乱をもたらします。
さらに、イグアナ自身が命の危険に晒されることもあり、脱走は飼育者だけの問題では済まされません。
だからこそ、設備面の見直し、放し飼いの管理、日頃の観察と信頼関係づくりなど、多方面からの脱走対策が求められます。
ペットとして爬虫類を迎える以上、「脱走させない」という意識は、命を守る最低限の責任です。
今一度、飼育環境を見直し、安全で安心な暮らしをイグアナとともに築いていきましょう。
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いや、読んでくださいお願いします(土下座)
