グリーンイグアナの放し飼いって爬虫類マニアからすれば憧れの生活ですよね。
海外では、グリーンイグアナの放し飼いはわりと一般的のようです。
古い映画ですが、『ターミネーター』でもアパートでイグアナを放し飼いにしている様子が描かれています。
「本当に放し飼いができる?」と疑問に思っている方も多いとは思いますが、結論から言えばグリーンイグアナの放し飼いは月齢やサイズにもよりますが可能です。
また、アダルトの個体になると体長が最大で200㎝にもなるため、飼い主が留守の間は植物用のガラスケージで、飼い主が家にいる時には放し飼いをしているという方がほとんどのようです。
そこで、この記事ではグリーンイグアナの飼い方や、放し飼いができるための環境や準備、トイレのしつけについてなどをまとめています。
グリーンイグアナの飼い方をご説明!
グリーンイグアナベビーは全長30㎝前後ですが、生後3~4年すると全長150㎝くらいになり、最大で200㎝になる大きな爬虫類です。
そのため、飼い始めた最初は爬虫類用のガラスケージや大型水槽に蓋を付けて飼育することが出来ますが、全長100㎝を超えてくるとなかなか良いサイズのケージが見当たりません。
成長に伴い巨大化するグリーンイグアナ。
市販されている爬虫類用のガラスケージや大型水槽ですら、狭く感じることもあるのじゃ。
良くお花屋さんなどで見かける観葉植物用の温室や、お手製のケージ、またはほぼ放し飼いで飼育される方が多くなります。
観葉植物用の温室を使用する際には、高さは150㎝程度の引き戸タイプのものを選ぶと良いでしょう。
また、材質はガラスよりもアクリル製がオススメです。
ガラス製になるとそれなりに重量になりますし、イグアナは発情期や人慣れが出来ていない間はテールアタックと呼ばれる尻尾をムチのように振って攻撃することがあります。
そのため、ガラス製であるとガラスの破損に繋がることもあるので注意しましょう。
グリーンイグアナの放し飼いは可能?
人間の生活圏での同棲
グリーンイグアナの放し飼いの方法の一つとして、飼育者を含む人間が生活している圏内にグリーンイグアナを新たに迎え入れる方法です。
例えばリビングなど飼育者の生活圏内でのグリーンイグアナの放し飼いは、まったく不可能、というわけではありません。
事実、放し飼いで上手に飼育している人もいます。
ただし、「自分の部屋にイグアナがいる」のではなく、「イグアナのケージに自分がいさせてもらっている」くらいの覚悟が必要です。
樹上性のトカゲなので、食器棚や本棚、カーテンレールなどをぐんぐん登り、常に人の視線より高い場所にいるようになります。
このとき、ネコのように棚に置かれたものを避けたりしません。
すべてなぎ払ってしまうのです。
また、普通は登ろうと思わないようなところを登ろうとするので、家中がボロボロになります。
壁紙もカーテンも無事ではすみません。
何より、ベビーのころから積極的にハンドリングして慣らしておかないと、部屋に猛獣を放すことになります。
冒頭でのターミネーターのようにおしゃれなイメージをされているのでしたら「あれは映画の中の話なので美化されている」という結論に至ります。
無理ではないものの、グリーンイグアナの野性味溢れる生活に合わせて、人間が住む環境としては部屋が荒れ果てることは覚悟が必要です。
荒れ果てた環境での生活になるため、人間の生活圏内でのグリーンイグアナはおすすめできないのじゃ。
個室を提供する
前述のように人間の生活圏内にグリーンイグアナを迎え入れるのは、生活環境が荒れる覚悟が必要であることを説明しました。
一方、人間の生活圏とは別けて、グリーンイグアナに1部屋を明け渡し放し飼いにするという方法もあります。
実際にその部屋があるかどうかは別問題として、できることであればこれは、ベストの選択肢です。
基本的にアダルトサイズになったグリーンイグアナはほぼ放し飼いと言える環境で飼育することが良いと言われています。
植物用の温室でも良いですが運動量も足りないため、犬を飼っている場合と同じように、飼い主が外出中はケージの中、飼い主が家にいる場合は放し飼いという飼い方をしている場合が多いようです。
四畳程度の狭い部屋でもグリーンイグアナの飼育部屋にできるのであれば、ベストじゃ。
では改めてグリーンイグアナを放し飼いにするメリットとは何でしょうか。
それは「グリーンイグアナがのびのびできる」ことです。
どんなに広い家で大きなケージを置いても、「ケージに入れて飼っている」という感覚はぬぐえないものです。
肉食性のオオトカゲや隠蔽性の強いヤモリ、ヘビではまずできないことですから、グリーンイグアナならではの楽しみといえるでしょう。
私の友人には、部屋の照明を爬虫類用のメタルハライドランプに変えてしまった猛者もいるくらいです。
広い空間で飼育したほうがかっこよくきれいに育つタイプのトカゲなので、部屋で放し飼いにすれば見事な個体に育てることができます。
グリーンイグアナを放し飼いする方法
放し飼いが出来る月齢・サイズ
まず、放し飼いに適しているサイズはヤングサイズと呼ばれる、最低でも1年以上経過した大きさの子であると言われています。
十分に準備が出来てなかったり、個体が小さすぎると踏んでしまう・室内で行方不明となる事故につながることがあります。
まだ体の小さいベビーやヤングサイズの放し飼いはリスクが大きいのじゃ!
放し飼いのための室内状況
グリーンイグアナは野生環境下では床を歩いたり樹の上に登ったりする習性があります。
そのため、自宅内のリビングで放し飼いをする場合は、タンスや冷蔵庫、棚などには平気で登りますし、猫のように上に乗せている荷物を避けて歩くことはせず、全て引き倒してしまいます。
最大で200㎝くらいにもなるので、尻尾を除いても猫くらいの大きさはあります。
そのため、イグアナを室内で放し飼いをする際には、なるべく物を減らしておくことが大切です。
イグアナと飼い主双方のケガや事故を防ぐことが出来ます。
それを考えると、リビングで放し飼いにするのは少々難易度が高いので、部屋を1つ与えるくらいの意気込みが大切です。
成体になったグリーンイグアナは部屋1つの飼育環境が望ましいのじゃ。
また、グリーンイグアナの飼育も温度管理が大切になります。
室内温度は日中28℃~35℃、夜間は25~28℃程度に設定し、バスキングスポットは40℃にする必要があります。
これを1年中キープする必要があるので、放し飼いをする場合はエアコン管理が必須になります。
特にバスキングスポットは、他の生き物よりも高い目線の所を好む習性があります。
そのため、棚の上などに上がれるようにスロープなどを付けてあげて、高い場所にバスキングスポットを作ってあげると良いかと思います。
また、バスキングスポットの電球に個体が手の届く距離になる場合は、電球にヤケド防止の網を付けてあげたほうが良いでしょう。
グリーンイグアナはトイレを覚える?
「しつけ」るのではなく「習性を利用」する
グリーンイグアナの飼い方について調べていると「イグアナはトイレを覚える」という記事を見かけたことはありませんか?
グリーンイグアナがトイレを覚えるかといわれれば、とても微妙な問題です。
「ちゃんと覚える」という方もいれば、「まったく覚えない」という方もいて諸説あるというのが現実です。
グリーンイグアナは他のポピュラーな爬虫類に比べて利口ではありませんが、実際に犬や猫みたいにトイレをしっかりと覚えるということはありません。
そのため、「トイレをしつける」というよりは、「グリーンイグアナの習性を利用してトイレをしてもらう」ということになります。
グリーンイグアナはある程度、トイレの場所を決める習性があります。
飼っている個体がフンをする場所にフン受けを置き、そのフン受けをトイレにしてほしい場所に移動させれば、飼い主が望む場所をトイレにしてくれることがあります。
湿度が高い場所で排泄をする傾向がある
習性に個体差はありますが、湿度高い場所を選んで水浴びと同時に排泄をする傾向があります。
そのため、放し飼いをしている飼い主さんはお風呂場をグリーンイグアナのトイレとして活用されている方が多いようです。
方法としては、犬猫のしつけのようにトイレとして認識させるわけではなく、湿度の高い場所を認識させ、常に水浴び容器などを設置しておくことで成功率があがりやすくなります。
我が家のフトアゴヒゲトカゲやヒョウモントカゲモドキたちをみても、同じ場所に排泄していることが多いので、同じ場所で排泄をする傾向がある子もいるようです。
飼い主の意図に反したトイレの位置を決めることもある
この場合、こちらがトイレにしてほしい場所でしてくれれば良いのですが、リビングのソファーなどで覚えてしまった場合は最悪なことに…。
これらのことからグリーンイグアナを飼う際には「トイレは確実に覚える!」というよりは、その子の性格や気分で出来るかもしれない!くらいにとどめておくほうが良さそうです。
いずれにせよ、イヌやネコのトイレトレーニングと同じようなしつけはできません。
グリーンイグアナの放し飼いはできる?【まとめ】
グリーンイグアナは全長200㎝にもなる大型のトカゲになるので、飼育するには部屋1つを明け渡すくらいの覚悟と用意が必要になります。
エアコンで365日管理するのであれば、それなりの電気代にもなります。
しかし、グリーンイグアナは上手に飼育すれば10~15年と長寿で、犬や猫と同じように良きパートナーになってくれると思います。
グリーンイグアナの飼育は大変であるということをしっかりと考え、用意した上で迎えてあげてくださいね。